今日の昼頃
晴美さんから電話があった。
「お母様・・・戻れたのね。良かった」
「今、一人?」
僕は尋ねた。
「ええ・・・何が・・・あったの?」
晴美さんも聞き返してきた。
手短に僕が見たことを話した。
「そう・・・そんなことをKが・・・」
晴美さんはKの非道ぶりに驚いていた。
「結局・・・母さんはボロボロ・・・もう・・・僕には・・・何もできないよ・・・」
僕は弱音を吐いた。
「なにも・・・できない・・・?」
そんな僕を晴美さんは嗜める様に言った。
「母さんは・・・Kから離れられないって・・・・・・・そう言ったんだ。僕は・・・もう何も母さんにしてあげられることなんて・・・・ないんだ」
しかし、僕は母さんには何もしてやれないと言っていた。
「-----違うわ。救えるのは・・・HIROKI君だけよ・・・」
晴美さんは僕に言い切った。
「だって・・・いつだってお母さんを待ち続けてた。それに・・・・信じてたんでしょう?」
晴美さんは続けた。
「君は結局、待ってるんだもん、ずっと・・・ずっと・・・待ってるの。お母様が帰ってくるのを・・・・」
「でも、母さんは・・・・・・」
僕は昨日、Kの元から帰ってからの風呂での母さんの言葉を思い出し言った。
「ふふ・・・Kの今日の様子・・・教えてあげる・・・・・Kは荒れてたわよ・・・だから私のところへ来たの・・・・」
「えっ?・・・・・」
Kの思い通りに事が運んでいるとばかり思っていたので驚いた。
「お母様・・・Kの電話でないでしょ・・・・メールにも返信してないのよ」
そういえば、母さんのスマホの着信音が聞こえることがあるが、母さんが話す声を聞かないし、メールをしてるような感じもなかった。
「もう・・・仕上げたって思ってたのに、どうもそうじゃないみたいで、珍しく荒れてるのよ。あの人・・・」
僕は晴美さんの言葉を聞いても信じられなかった。
でも、母さんが求めているものは、本当に身体も心も満たしてくれるものなんだと気付いた。
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