謎の紙袋が開けられたのは、あれから4日たった金曜の夜のことでした。母の手で、テーブルの上にこれ見よがしに置かれました。
やはり気になり、『なにこれ?』と聞いてみます。母は曇った顔を見せ、『ちょっと見て。』と僕に言います。
『なにか?』と思い、紙袋を開くと、撮影用のカメラが入っています。『この前、撮影してたやつ?』、その一つかと思いました。
しかし、ところどころビニールも掛かり、新品であることが分かります。『なにこれ?』と再度聞いてみました。
すると、『ビデオで撮って来いって…。』と聞かされます。『あんたとしてるところを、土曜日までに撮って持って来いって。』と説明されます。
母はあの日、そう言われて帰ってきていたのです。しかし、言い出せずにいて、切羽詰まった今になって出してきたのでした。
『今日しかないやん。』、思わず言った僕に、母は『今日しかないんよ。』と答えます。きっと、充分に悩んで僕に頼って来たのです。
もう悩む時間はありませんでした。今から、母とセックスして、カメラに納めるしかないのです。『なら、やらんか。』と立ち上がりました。
母も『うん…。』と答えましたが、元気がありません。打つ手がないのです。
僕はカメラのバッテリーの充電を始めます。新品なので、とにかくそれからです。母はテーブルに座り、僕の指示が掛かるのを待っています。
『たぶん、2時間くらいは充電掛かるかも。』、充電完了がどのくらい掛かるのかは分かりませんが、とにかく母を安心させることを選びました。
『まだ2時間あります。』と気持ちを落ち着かせてあげたかったのです。
僕は部屋を探しました。そんなに大きな家ではないため、僕か母の寝室しかありません。綺麗さから言っても、それは母の部屋以外は考えられません。
母の部屋を覗きます。カメラの位置、撮影にジャマなものを考えていきます。三脚がないため、とりあえず母の机の上に置くことにするのです。
居間に戻りました。『なんか、言われてる?』と要望を聞いていないかの確認です。『顔とアソコを撮ってこいと言われてる。』と聞きました。
結局は、それなりのAVを撮れってことです。
2時間が経過しました。バッテリーの充電はどうなのかは知りませんが、もうコンセントから抜くしかありません。
『やろか?』と母に声を掛け、寝室へ向かいます。後から付いてくる母も、元気がありません。
自慢だった彼氏と出会ってしまったことに、後悔をしているのかも知れません。
いよいよ、母との撮影が始まります。しかし、その撮影は困難なものでした。AV撮影。撮るよりも、撮られる方が楽だと思うのです。
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