僕は昼から会社に出勤をしました。『用があって家に帰ると、その現場に出くわした。』という理由が欲しかったのです。潜んでいたのを隠したいのです。
そして、母とどう向き合っていいのかも分かりません。正義の行動のつもりが、ここまで雰囲気が悪くなるとは思わなかったのです。
おかげで帰りづらくもなり、家に着いたのは21時を回っていました。普段通りに夕食を食べていても、どこかぎこちなさがあります。
夕食後、『お母さん、ちょっと話しする?』と誘いました。母は手を止めて、僕の対面に座り込みます。その顔は僕を言いくるめようと余裕の顔に見えました。
『ほんと、誰なん?アイツ。』と切り出しました。『職場の子。』と素直に答えました。『何でこうなったの?』と聞きます。
『もう別れたから。あの子とは会わんから。』と電話で別れたと言います。母の余裕はこれでした。『別れたから、もう帳消し。』、そう取れました。
その余裕が頭に来ます。母を論破するつもりが、『だから、もう終わり~。』と言われたのと同じですから。
『どこの誰?』、その口調に母の顔色が変わりました。『どこの誰?俺、話しするわ。』と言うと、ますますです。
まさか、僕がここまで言うとは思ってなかったのでしょう。『もう終わった話だから。もういいよ。』と、関わらないでくれと言われます。
実は僕も同じでした。押し掛けるつもりもありません。後ろから恐い人が出て来たら困ります。この前、二人に言えたのも、明らかに僕が有利だったから。
今はただ、余裕の顔をしている母が気に入らなかったのです。
『どこの誰や?』『電話教えなよ。』『なら、今から呼べ!』と知らず知らずにに強い口調で母に言っていました。
さすがに母の顔から余裕は消え、変わりに目に涙が浮かび始めます。『もうお願い…。もうしないから許してよ~…。』と泣き脅しでした。
僕にSっけがあるのか、この感覚はとても楽しかった。とても気持ちいいものだった。あの母が、涙を流し、頭を下げて僕に許しをかっているのです。
『なら、何回寝たんよ?』、自分でもこんな言葉が出るとは思いませんでした。答えなど何でも良かったんです。
謝ることしか出来ない母を見て、虐めたくなったんですね。もちろん口を閉じる母に、『アイツと…。』と念押しをします。
それでも何も言わない母に、『何回アイツとヤったんよ?教えて。』と冷静な口調で言いました。母も、その冷静さは怖かったと思います。
自分でも、『こんな言い方されたら、イヤだわなぁ。』と思っていましたから。
『2回…。今日いれて、2回…。』、長い沈黙を破り、本当のことを言ったような母。でも、それは嘘です。日記だけでも、10回近くホテルに行っています。
ここまで来て、尚も真実を言わない母に対して、更に怒りを覚えるのでした。
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