その後も、母の病的な部分が見えて来ます。二人で車で出掛けた時のことです。相変わらず噛み合わない会話に僕は聞き手に回り、勝手に喋らせていました。
その話の中で、聞き捨てならないことを言い始めたのです。『この前ねぇ、ホテルに行ったのよぉ。』と言います。
『まさかラブホじゃないよなぁ。』と期待と不安が入り交じります。でも、『いくらなんでも、子供にラブホの話はしないだろう。』と思っていました。
『声掛けられて、ついて行ってやったわぁ。そしたら、すぐイクん。もう笑た笑た。バカにしてるやろ~。』とまさかの答えでした。
『何を言ってるのか、このバカは。』と心の中で呆れました。それよりも、『コイツ、ほんとに頭がおかしくなったんじゃ?』と心配したほどです。
『まあ、私もいい服着て、その気やったけどなぁ。』と言われ、少し前のことを思い出していました。
確かに10日くらい前に、普段見ない洋服が掛けてありました。薄いグリーンの派手な洋服でした。母はあれを着て、男とホテルに行ったのでしょう。
本当は子供としては、注意すべきところなんだろうと思います。けど、話の内容が内容です。親の、それも性的な行動なので、言葉が出ませんでした。
『ああ、そう。』と半分容認するような返事をしてしまいます。それよりも、母のその性的な行動を聞いているだけで、どこか興奮する自分がいたのです。
『ナンパされて、よくホテル行くん?』と聞くと、『あんたもそんな年になったんやねぇ~?あんたとこんな話出来るとは、私も年を取るはずやわ。』と、
訳の分からない返事でした。『行ったことないよ。お父さん死んでから、初めてやったわ。』と続けます。
『私、女やろ?男の人とセックスしたい時もあるんよ。女の本能みたいなものよ。』と、なにか自分の正当性を訴えています。
それを聞き、『お前は完全に間違ってる!』と心の中で呟いていました。
そして、こんなこともありました。昔、芸術大学に通っていた母。数点だけ見たことがありますが、意味不明の絵だったのを覚えています。
そんな母が、ある日家で絵を描き始めます。油絵です。あまり使ってなかった部屋にシートを敷き、美術部屋にしてしまったのです。
下書きの段階までは見ていました。中央に男性の裸体を描くようでした。まあ、美術の教科書にも載っているような感じの絵です。
機嫌が良さそうなので、その後は何も言わずに勝手にさせていました。ある時、その絵が気になり、見に行ったことがあります。
絵を見て、驚きました。下絵の段階しか見てなかったので、あまりのイメージの違いだったのです。確かに中央に男性が裸でいます。
しかし、全体的に茶色や赤でおどおどしい絵になっています。男性は拷問をされているようで、身体のあちこちから流血した様子が伺えます。
何よりきになったのが、その男性の性器が明らかに勃起をしているのです。この手の絵って、だいたい下にだらんと垂れ下がっていますよねぇ。
そうではなく、母は意図的に勃起させたのだと思います。バカなのか、頭がいいのか、よく分かりません。
※元投稿はこちら >>