パパが帰国してしばらくが、辛かった…。
二人だけの空間で、気ままにどこでもセックスできていた家の中が、にわか
に牢獄みたいに感じられた…。
学校の帰り道、ある日、友達と別れてまもなく、車道におにいちゃんが待っ
ていた。
そのままタクシーに引きずり込まれ、車は隣町まで走って、ラブホテルの敷
地に乗り入れた…。
実の兄妹だとは、タクシーの運転手もホテルの人も、気づかなかったに違い
ない…若いカップルだとしか。
インターネットカフェのカップル個室も、利用した。
スタッフが巡回してくるので、さすがに、抱き合ってねっとりキスし愛撫す
るしかできなかったけど。
「…挿入したい」。おにいちゃんが切なく、溜息をついたけど、どうしよう
もなかった。
「俺の可愛い新妻、美月。美月がほしい。美月を抱きたい」
おにいちゃんは隣の部屋から、チャットで繰り返しそう書いてきた。
パパの手前、家の中では無愛想すぎるくらいの態度なのに。
苛立ちが募るのか、おにいちゃんはパパに反抗的な態度を隠さなくなってき
た。
それでなくても、ママを孤独に病死させたのはパパのせいだと、仕事に逃げ
て家庭を顧みない卑劣な奴だと、前からパパを嫌ってたおにいちゃんだし。
「お願いだから、パパに刃向かわないでよ…おにいちゃんがこの家を追い出
されたりしたら、美月はどうしたらいいの?」時々、美月はおにいちゃんに哀
願した。
おにいちゃんはとても悲しい顔をした。
「お母さんと同じこと、言うんだな…。お母さんもこの家を出る前、よく俺
にそう言って泣いたよ」
おにいちゃんの顔に浮かんだ表情は、怒りではなく、悲しみだけでもない、
不思議な表情だった…。
そんなおにいちゃんに、どうして美月が言えるだろう。
昔……パパに……パパの指が…美月のあそこを弄ったことがあるなんて…。
美月だけが、覚えてる…しっかりと。
あれは、一晩だけの悪夢じゃなかった…。
ママとおにいちゃんがいなくなってから、何度か繰り返された、パパのいた
ずら…。
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