翌日、両親が旅行から帰ってきた。
私達の変化に気づいたのは母親。
「女の勘」が鋭い母は、いつも私や家族の事を見透かしていた。
父と三人で入浴していたのを止めたのも母親。
娘の私と息子の弟の仲を引き裂こうとしていた。
もちろん、普段は「仲良し母娘」を装っていたけど、最大の邪魔者でもあった。
「あなた、高校生にもなって、彼氏もいないんじゃ、ママ恥ずかしい」
と私に嫌みを言う事もあった。
「そんなのママには関係ないでしょ?」
「今は受験生で忙しいんだから、オトコなんていらないよ」
と、挑発する事もある。
私が部屋に弟を呼んで、色々と話していても、部屋にきて
「アナタ達、もう大人なんだから、話をするならリビングでしなさい」
とか
「なにお姉ちゃんのベッドに腰かけてるの?」
とか、やたらと干渉してきて、ゆっくり子供同士の会話もできない。
私達は、まるで同じ屋根の下で暮らしてる「ロミオとジュリエット」みたいだった(笑)
私が18になると夜中に夜食を作ってきて、弟がいた形跡を探すぐらい徹底していた。
母がいない日に、初体験を決行しようとしても、直前になって私が怖じ気づいてしまった。
志望校に入学して、19の誕生日も、クリスマスも、家で二人きりになる事が難しくて、私は運転免許を取る事にした。
サークルの友達が、彼氏とドライブした話を聞いて、ホテルへ行くのも便利だし、車内でもエッチができる。
不純な動機だけど、意外と簡単に取れて、私が母のクルマを譲り受け、母が父のクルマを使う事が出来た。
週末には大学受験で忙しい弟を、「気晴らし」と称して連れ出して、ドライブに誘った。
夜になると国道沿いにあるラブホのネオンが気になる。
バイト代を貰ったばかりの私が、弟に
「どんな所か、入ってみる?」
と誘ったら
「学校にバレたら退学になるからやめておく」
とアッサリ断られ、夜景が見られる駐車場で、キスをしたり、服の上から身体を愛撫したりするようになった。
頭の中はセックスの事でいっぱいになった私は、狭い車内の中で試そうとしたが、弟の方が
「気が散って出来ない」
と言い出した。
結局、大学に合格して、高校を卒業するまで、オアズケ状態になった。
弟が高校の卒業式を終えると、母に隠れて弟を迎えに行った私は、クルマに着替えを入れて、車内で制服を着替えさせて、以前から目をつけていたホテルに直行した。
初めてラブホの駐車場にクルマを止めた。
「やっと、これで私も卒業できる」
と思って、中に入ると、部屋を待っているカップルがたくさんいた。
「なんだか、病院の待合室みたいだね」
と弟は言った。
確かに、診察前みたいにドキドキした。
初体験で失敗したらどうしよう、と思う不安と期待が入り交じっていた。
順番が来て空いた部屋は、一番安くて、初体験の部屋としては不満だったけど、急いで帰らないと、両親に何を言われるか分からなかったから、そこに決めた。
鍵を貰って、エレベーターで階に着くと、他の利用客が部屋から出てきた。
思わず私は顔を隠したけど、同い年ぐらいの彼女は慣れた感じに見えた。
「みんなも、普通にしている事なんだから大丈夫」と思って覚悟を固めた。
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