つづき
弟の進学に喜んだのも束の間、高3になった私の受験が控えていた。
勉強に集中していた私は、誰かに「見られてる」と感じになった。
(自意識過剰になってるのかな?)
と思ったけど、視線の主が弟だと気づいて
(見守られてる)
と思った。
ただ、母は弟の行動に気づいて、
「アナタも、いつまでもお姉ちゃんの後ばかり、ついていってたら、大人になれないわよ」
と言うようになった。
母の監視を気にした弟は、親に隠れて覗き見するようになり、視線が気になった私が、部屋に呼んで
「どうしたの?」と聞いたら、
「好きだ」
と告白された。
「お姉ちゃんも好きよ」
と返したら、いきなり抱きついてきた。
「ちょっと、やめなさい、やめなさい」
と、腕を振り払おうとしても、私の身長を越えた弟のチカラに抗えず、そのまま唇を弟に奪われてしまった。
初めてのキスを、強引に奪われた私は、呆然とするしかなかった。
「どうしてワタシなの?」
と、至近距離で弟を見つめると、
「ごめん、でも、もう我慢できないんだ」
「お姉ちゃん、愛してる」
と言って何度も私の口を塞いだ。
頭がボーっとしてきて、チカラが抜けて行く。
「お姉ちゃん、お姉ちゃん、」
と言いながら、弟のチカラが緩んだ。
「分かったから、離して、」
と言うと、正気に戻った弟は、私のベッドに腰をかけた。
「あのさぁ、お姉ちゃん○○と付き合ってるって本当?」
と聞いてきた。
○○は同じクラスの男子で、私が生徒会長をしていた時には、色々と噂になった事があった。
「別に、何でもないし、噂になっただけだよ」
と言ったら、うちの学校の噂を、弟に流した犯人が判った。
どうやら彼に片想いしていた同級生が、自分の弟を使って、噂の真相を確かめようとしたらしい。
「誤解よ、本当に彼とは何でもないから」
と言うと、安心した顔をした。
「俺、やっぱり、お姉ちゃんと一緒にいたい」
それは両親の離婚騒ぎの時の話だった。
「俺、あの後ずっと、あの話を考えてたんだ」
「一緒にいられたら幸せだろうな、って」
私もずっと、同じ事を考えていた。
一緒にお風呂に入ったり、一緒に食事をしたり、親に干渉されない環境で、姉弟仲良く暮らしたいと思っていた。
でも、それは結婚できない相手だし、子供も作れないような歪な関係だと思って、口にはして来なかった。
ずっと、私の一方的な片想いだと思っていたから、弟の告白が嬉しくて、せつなくなった。
「キス、初めてだった?」
「うん、お姉ちゃんは?」
「お姉ちゃんも初めてで、ビックリしちゃった」
って笑ったら、
「ごめん、俺、さっきはつい夢中になって、」
「大丈夫、私は、あなたを愛してるから」
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