射精寸前、一気にチンポを引き抜いた後も、あぁっ、あぁぁぁっうぅぅ、ヤバい、と息を荒くしたまま下半身を震わせる妹を抱きしめ、舌を絡めながらコンドームの中に出していた。
そして、禁忌を犯した罪深き愚者は賢者の足音に震えていた。
吐き出したドロドロの欲望で満たされたコンドームを外す気力も失せるほどの罪悪感と自己嫌悪の時間。
まだ整わない息で「お兄ちゃんとしちゃった、途中わぁぁぁってなって頭がふぁぁってなってヤバかったの、まだ脚がカクカクするしお腹がピクピクしてる」などと、俺の腕を枕にし、なにやら嬉しそうな妹。
そんな妹を可愛いと思いながら頭を撫でる度に、凄まじい罪悪感に苛まれた。
セックスしたことで妹の思いが強くなっても俺は答えられない。
妹のことは可愛いし、なんなら女として見ても好きかもしれないが、結婚できるわけでもない俺達の将来はどう転んでもバッドエンドだ。
気を持たせたかもしれない、どうして我慢できなかったんだ。
そんな負の感情がひしひしと湧き出ていたんだろう。
スッと寂しそうな顔に変わった妹は俺の体に抱き付いてきた。
「後悔してるんでしょ?私のこと気持ち悪い?」
「お前のことは可愛いと思ってるし、セックスも気持ちよくて満たされたよ、なんなら女としても好きなのかもしれない、けど違うじゃん?俺達に将来なんて無いしさ、何かを期待させたなら悪いことしたなって、もっと辛くなるのお前だよなって」
「馬鹿だなぁ、私はお兄ちゃん大好きだよ、お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんってお兄ちゃんに埋めつくされてて、息できないくらい埋めつくされてて苦しくて辛いから幸せなの」
「ちょっとわからない」
「うぅぅん...お兄ちゃんが言う将来って付き合うとか結婚ってことでしょ?私だって子供じゃないからそんな将来が無いことくらい知ってるし、お兄ちゃんとのそんな将来いらないよ、彼女なんて喧嘩して嫌いになって嫌われて別れたら終わり、結婚も同じ、だけど妹は何があっても生まれてから死ぬまでずっと妹なんだよ、お兄ちゃんに彼女が居ても将来奥さんができても、妹は唯一の存在でお兄ちゃんは私だけのお兄ちゃんなの」
「う、うん」
「私がお兄ちゃん大好きなのは、何々君カッコイイ、付き合いたい、付き合えて嬉しい、喧嘩して悲しい、浮気されて辛い、とかそんな次元の低い話じゃないの、好きとか愛してるとかを超越したもっと凄い大好きなの、だから最強なんだよ」
「うん、意味がわからない」
「本当に馬鹿だなぁ、私が生まれた瞬間から私達は一生切れない関係で結ばれてるの、それも唯一の存在として君臨してるの、他の儚くて脆い将来なんて必要ないじゃん、私は一生お兄ちゃんだけの妹で、お兄ちゃんは一生私だけのお兄ちゃんってことが保証された中でお兄ちゃん大好きだから私の大好きは最強なの、同じミトコンドリアDNA分け合ってるんだよ?結婚指輪より強いんだよ」
「謎理論か、それだと父さんでもいいじゃん」
「は?やめて気持ち悪い...それにミトコンドリアDNAは母体からしか」
「わかった、その話はいいわ」
「お兄ちゃんって本当にクズの最低人間だけど完璧なの」
「急にディスるのやめろ」
「大好きって言ったんだよ」
「わかんねぇよ」
「お兄ちゃんは今まで通りでいいの、私はお兄ちゃん大好きだし、お兄ちゃんも私が大好きだから」
「大好きとか言ってないけど」
「言ったよ、私わかるもん」
「もしかして聞こえてた?」
「え?言ったの?」
「言ってない」
「言ったんだ、いつ?もう一回言って」
「嫌だ」
「ホラ、言ってるじゃん、もう一回言ってよ、あと名前で呼んで、じゃないとイタズラされたってみんなに言うよ?」
「うわぁうざっ」
「いいもん、お兄ちゃんいっぱいギューッてして、いっぱいキスしてたの、私のこと大好きって感じだったもんね」
よくわからないが、狂気に満ちた歪んだ愛情を向けてくる妹がいいかならそれでいいか、と考えることを放棄した。
そして「大好きって言わないの?」としつこく纏わり付いてくる妹をあしらいながら、放置していたコンドームを外し、中身をティッシュに絞り出してゴミ箱に投げ捨てた。
中身を絞り出したのは妹がなにかやらかしそうな予感がしたからなのだが、アァッと残念そうに声を出したのでやっぱり何か企んでいたんだろう。
「待って...」
チンポを拭こうとするのを止められた。
止められたが、何を企んでいるかわからない妹の指示に従う義理はない、かまわず拭こうとすると妹は慌てて俺のチンポを口に含んだ。
胡座をかいた俺には、妹の後頭部しか見えないが、ヌチャッヌチャッと音を立てながらチンポに纏わり付いた精液を舐めていることだけはわかった。
「なにやってんの?」
返事もせず妹は俺のチンポを舐め続けていた。
妹を止めることが無理だと悟った俺は、早々に諦めてそのまま仰向けに寝転がって妹との今後を考えていた。
しばらくヌチャッヌチャッと音を立てていた妹だったが、一頻り舐めて満足したのか、恥ずかしさを誤魔化したような笑顔を見せ、嬉しそうに俺に抱きついてきた。
「お兄ちゃんを摂取した」
「よかったな」
「うん、お兄ちゃんのだったらいっぱい飲める、今度は口に出していいからね」
「今度なんかないよ」
「あるもん」
俺に抱きついたままウトウトしていた妹は、とうとう寝息をたて始めた。
そんな妹を、ただボーッと眺めながら頭を撫でていた。
「あっ、お風呂入らなきゃ」
10分か20分ほど寝てた妹は突然目を覚まして時計を確認していた。
「準備してくるから一緒に入ろう」
「俺は後でいいよ」
「入らないと、凄い臭いしてるよ」
「これお前のオシッコと変態汁な...うあ、痛い」
「一緒に入るでしょ?」
「入るから離せ」
二の腕に噛み付いてくっきり歯型を残した妹は、何故か俺のパンツとTシャツを身に付けると、勝ち誇った顔で部屋を出て行った。
兄妹喧嘩するとよく噛み付いてきていたが、今も変わってないんだなと思いながら、顔の前にぶら下げた妹のパンツを眺めていた。
風呂の準備を済ませ戻ってきた妹は、何を話すでもなく俺に抱きついていた。
俺もそんな妹の頭をただ撫でていた。
その後、十数年ぶりに妹と一緒に風呂に入った。
私が洗ってあげる、と俺の体を洗おうとする妹を振り払って、嫌がる妹のマンコを洗ってやるとウゥンッと声を出し、ボディソープの泡の奥に滑りを帯び始めた。
そんな妹をからかい湯船につかり、しばらくは妹を抱きしめていたが、真夏の夕方の入浴なんて地獄でしかない。
すぐに気分が悪くなり、まだ入ってると言う妹を残して部屋へ戻った。
なにやってんだ俺。
妹を可愛いと思うほど、本当によかったのかなという気持ちが込み上げてくる。
しばらく悩んでると、俺とは対照的に上機嫌な妹が部屋へ入ってきた。
「この布団汚いから夜は私の部屋で寝ていいよ」
「別にいいよ、夜は母さん居るし」
「平気だよ、私達の部屋に入ってきたことないじゃん、てか一緒に寝るのは決定事項なの、夜遊びに行っても帰ってきたら一緒に寝るの、わかった?」
そう言い残して部屋を出て行った妹が髪を乾かすドライヤーの音を聞いてる間に母親が帰ってきたようだった。
当然、俺は自室で考えこんでいたが、結局答えは出ないまま、夕飯できたよ、と呼びに来た妹にうながされ、リビングで夕飯を食べていた。
「最近どうなの?どうせ遊んでばっかりで彼女に愛想つかされてんでしょ?」
などと呑気に話してる母親が我が子の近親相姦を知ったらどう思うだろうか、そんなことを考えると居心地が悪くて、急いで食事を済ませて自室に戻った。
その後、すっかり夜になっていたが、妹がまた部屋へ入ってきた。
「たぶん、母さん寝たよ」
「そう」
「私達も寝よう」
嬉しそうに俺の手を引く妹からは、母親への罪悪感など一切感じられなかった。
女って強いななんて思いながら、結局妹のベッドで、俺に抱きついてる妹を抱きしめながら頭を撫でていた。
「いつまで居るの?」
「明日の昼」
「え、嫌だ...もっと居なよ」
「明後日バイトだから」
「明日の最終でいいじゃん」
「向こう着くの何時になると思ってんだよ」
「うぅ...私もついて行こうかな、夏休みが終わるまで居ていい?」
「ダメ」
「デートの邪魔したりしないよ?」
「お前もバイトあるだろ」
「同じ大学にすればよかった...じゃ我慢するから寝るまでキスして」
「寝れないだろ」
「いいじゃん、それともついてきてほしい?」
「ないわ」
「じゃキス...あと名前呼んで大好きって言いながらね」
「嫌だよ」
「恥ずかしいの?私はお兄ちゃん大好き」
妹は自分からキスしてきた。
唇をつけたまま、お兄ちゃん大好きと何度も繰り返しながら必死に舌を絡めてきていた。
俺も心の中で大好きだと思いながら、口に出せないもどかしさを晴らすように強く抱きしめて舌を絡めていたが、しだいに妹の舌の動きは弱々しくなっていき、寝言のようにお兄ちゃん大好きと言いながら、本当にキスをしながら寝てしまった。
そんな妹が可愛くてたまらなくて、既に寝息をたててる妹に何度もキスをして、そのまま俺も寝ていた。
翌日、寝返りをうったのか、妹に背中を向けた状態で目を覚ました俺は、俺のTシャツをしっかり握りしめて眠っている妹を起こさないよう一回だけキスをしたあと身支度をし、自室の荷物をまとめていた。
「なんで起こさないの?」
「アホ面で寝てたから、てか下履けよ」
「ドキドキするの?」
「しないわ」
「待ってて、私も駅まで一緒にいく」
「来なくていいよ」
「嫌だ、お見送りする」
駅に向かう道中、やたら手を繋ごうとする妹を振り払うのが大変だった。
お兄ちゃんとしたって友達に自慢すると脅迫され、朝食か昼食かわからない食事を奢るためカフェに入った。
「正月帰ってくるの?」
「わからない」
「帰ってこなかったら私が行く」
「来るなよ、てか家知らないだろ」
「住所は知ってるよ、母さんが荷物送る時にメモしてたのが残ってるの」
地元から新幹線で3時間かかる場合に住んでてよかったと思った。
そんなこんなで妹に見送られ、俺は一人暮らしのアパートに戻ってきた。
日を追うごとに妹が恋しくなってもう一度したいと思ってしまったり、やっぱり我慢するべきだったと後悔してみたり、葛藤している。
「妹はお兄ちゃん不足です」
自分の変顔をラインしてくる妹。
もともと、突然カタツムリの画像だけをラインしてきたり、意味がわからないスタンプを大量に送ってきたりする変な妹だったが、盆休み以降はその頻度が極端に増えた。
「画像くれくれ」
「断る」
「ビデオ通話希望」
「断る」
「お兄ちゃん部屋の掃除中」
「やめろ」
「今日のパンツ」
極め付けは一緒に風呂に入った時、妹が履いていった俺のパンツを履いた妹の画像だ。
絶賛葛藤中の俺とは対照的に、毎日楽しそうにくだらないラインを送りつけてくる妹が、お兄ちゃん大好きってラインをしてこないことに若干の寂しさを覚えたりしながら、俺の葛藤は続くんだろうと思う。
身内の冠婚葬祭でもない限り、次に会えるのは正月だ。
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