私はただ母が怖かった。
母が取り憑かれたように私に乳房を押し付けて吸いなさいと繰り返す。
私は恐怖から逃れたい一心で無我夢中で母の乳首を吸った。母は芳樹ちゃん可愛いわ。もっと吸いなさい。赤ちゃんみたい可愛いと乳房に吸い付く私の頭を撫でまくるのだった。
その日から寝る前に母は芳樹ちゃん、おっぱいの時間ですよと言って寝巻きの前をはだけて乳房を出すと私を膝に座らせて乳首を吸わせ頭を撫でるようになった。
私はその行為が異常であると感じてはいたが、断われば母がもっと異常になる気がして毎晩、母の乳房を掴んで乳首を吸っていた。
愛人が2人目の子供を妊娠した。以前は最低限、朝か夕方に一度は申し訳程度に帰宅して居た父がそれを境にほぼ帰宅しなくなった。
小学生だった自分には当時、父と母がどんな折り合いをつけ、会社で過ごしていたのかは分からない。
生前の母が語っていたのは、私が秘書兼愛人の様なものだったという事だ。昼間は自分の従業員や取引先の前で良妻賢母を演じ、耳に入る父と愛人やその娘の話をひたすらに耐えたのであろう。
離婚すれば本妻の地位ならず中堅工務店の取締役も失いかねない。母は意地を通して最期まで本妻と工務店の取締役を務めあげた。
ただ、その反動や歪みは全て私と母の親子関係に及んだ。いつしか私に乳房を掴まれ乳首を吸わせていた母は女の顔になっていった。
当初は芳樹ちゃん、芳樹ちゃん可愛いわと赤子をあやすような言葉を発していた母がくぐもった喘ぎ声を上げるようになった。
私は最初、乳房を強く掴んだから、乳首に歯が当たったから、変な声を母は発したのだと思い、そのたびにお母さん、ごめんなさいと謝ったのだが、そんな私の頭を抱き抱え、いいのよ芳樹ちゃん、いっぱい気持ち良くしてと言うようになっていった。
更に親子関係が歪なものになったのは、母とキスをするようになったのがきっかけだった。
ある日、学校から帰宅するといつも仕事で帰宅の遅い母がすでに居間に居た。
母は居間のソファに座り呆けたように空を見つめていた。あまりにも異様な光景だった。
私が母に、お母さん大丈夫、しっかりして!と駆け寄ると母は義之さんと父の名前を呼び、駆け寄った私にしがみつき、良かった帰って来たのね。と呟いた。
母さんしっかりして、父さんじゃないよ!僕だよ!と何度か母の肩を掴んで叫ぶと母はハッとした顔になり、私の顔を見つめた後泣き崩れた。
泣き崩れた母を抱きしめ、私もお母さんと何度も呼んで一緒に泣いた。
母はひとしきり泣くと私の顔を両手で優しく包んで芳樹、芳樹はお母さんとずっと一緒に居てくれる?お母さんから離れていかない?と真剣な顔で聞いてきた。
私は当たり前だよ!僕は何処にも行かない、ずっとお母さんと一緒に居るよ!と答えた。
その時、母は約束よ。と言って私にキスをした。
その日から母は僕を父、いや夫として接し始めたのかもしれない。登校や帰宅の際に芳樹、おかえりなさいとキスをするようになっていた
つづく〜
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