息子が書けと言うので続きを書きます。
翌日の朝、息子に明るい笑顔が戻りました。私のしたこと間違いではなかったのです。
昔のように三人で楽しく朝食をとりました。二年ぶりだと思います。
主人の顔に痣はまだ残ってましたが、息子はそれを心底謝っていました。ほんとは優しいんです。
その日の夜も主人、早く帰ってきてくれました。私、嬉しくてビーフシチューを作りました。二人の大好物だから。
夕食は昔みたいに家族団欒で、ほんと楽しくて。
久しぶりに、主人の冗談を聞きました。息子も笑ってました。これが私の求めていた家族なんです。
そんな楽しい時間は、あっという間に終わってしまいました。そして、息子が席を立った時です。
私に向かって、今日も待ってるよと言ったのです。
私は主人の顔を見ました。主人も動揺していました。
今夜も?一度身体を与えればまた求めてくるのは覚悟してました。でも、毎日なんて。私どうしたら?そこまで考えてなかったんです。
息子が2階の部屋に上がると、主人に相談しました。
でも、主人は、何も答えません。主人もどうしていいかわからないのです。
そして、時間は夜の12時を過ぎました。昨日の時刻です。私は早くから布団に入ってました。が、一向に眠れません。主人も同じだと思います。
もし、このまま息子の部屋に行かなければ、明日、きっと荒れた息子に戻ってしまいます。
でも、行ったら、明日の夜も、息子と。
私は、迷ったあげく、主人のせいにして断わるしかないと思いました。
そう決めると、私は布団から抜け出ました。主人は寝たふりしています。
昨日とは逆に普段着に着替えると、息子の部屋に向かいました。
扉はノックしなくても開きました。息子が。扉の向こうで待っていたのです。
その時の会話を書くと、大体こんな感じでした。
「あれ、母さん、今日はネグリジェじゃないの?」
「あのね、利彦、母さん、話しておきたいことがあるの。」
「わかったから、そんなとこ立ってないで、早く入りなよ。」
「ちょと待って、話しをさせて。」
「そんなの、終わってからでいいだろう。だから、ねえ」
「利彦、聞いて、母さん、昨日はね、父さんと相談して、あなたの荒れた心を癒すために来たの。昨日もそう言ったでしょ。」
「ああ、そうだったね。」
「でも、毎日は駄目、逆にあなたの心が、乱れてしまう。父さんも反対してるの。」
「え?今日だめっていうこと?」
「そうよ。」
「それはないよ。昨日母さんから誘ってきたんだよ。それを今さらだめって。」
「今度は、また父さんと相談するから。」
「そんなの。せめて今日だけ、朝から我慢してたんだ。今日だけでいいから。」
「駄目。今日は許して、」
そこまで話すと、急に息子の目が変わりました。昨日までの荒れた目になったのです。
強い力で私の左腕を掴みました。
「止めなさい、あなた、来て、」
私は恐くなって、思わず主人に、助けを求めたのです。
寝室は階段を降りたところです。直ぐに助けに来てくれるはずです。
息子は慌てて掴んだ手を離しました。
でも、下から何の反応もありません。
「あなた、あなた、」
そんなはずないと、私は何度も主人を呼びました。
しかし、寝室の、扉は開きませんでした。
夜中であまり大きな声は出せません。ですが、小さな家です。主人は聴こえているはずです。
私の身体から力が抜けていくのがわかりました。
そして、息子にまた腕を捕まれ、抵抗する力もなく息子の部屋に。
母さん、何で泣いてるんだよ。
私は息子の下で涙が止まりせんでした。
結局、主人にとって私は、息子に捧げる生け贄みたいなものだったんです。
きっと私、家族のため、明日もこのベッドの上で天井を見なければいけないんです。
涙が、止めどなく溢れます。それを息子が美味しそうに舐ました。
でも、主人の気持ちは痛いほどわかります。もう、あんな酷い生活はいや。
だから、私が息子の気持ちを受け止めて、今日のような素敵な家族に戻りたい。
そう願い、天井を見つめ耐える私の口の中に、酸っぱい息子の舌が入ってきました。
その夜が明けるまで、私は息子に許してもらえませんでした。息子は前の日が初めてだったのに、一晩中私を使って立派な大人になっていました。
すみません、調子にのって、また長くなってしまいました。
息子が書けと言えばまた続き書きます。
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