翌朝、目を覚まし階下におりていくと、母が慌しそうに部屋を走り回っていました。
わたしは洗面所で顔を洗い、口をゆすぐと、朝食が並んだ食卓につきました。
イチゴジャムが塗られた食パンを齧っていると、紺色のワンピースを着込んだ母が、背中のファスナーを上げながら歩み寄ってきました。
「ご飯食べたらダイくんもお着替えね!」
えっ?とわたしは思いました。
この日は平日で、普段ならもう30分後には学校に行く時間です。
ですが母の口振りは、一緒にどこかへ行くような感じでした。
相変わらず忙しく動き回る母を眺めながら、わたしがポカンとしていると
「今日ね、学校はお休みして病院行くからね?」
その病院とは、睾丸とペニスを診察してもらってきた病院のことだと何となく分かりました。きっと、昨日のことがあって、医師に報告しに行くんだろうと思いました。
診察室に入ると、いつもの医師に誘導され、普段通りあおむけでベッドに寝そべりました。
看護師さんが半ズボンのチャックを外すと、パンツと一緒に膝まで下ろします。
ヒヤっとしたかと思ったら、医師が無言で、定規を手に睾丸の大きさを測っています。そして、「うん」と頷くと、今度は睾丸を触診し出しました。
普段より力が強いように感じ、痛みを感じて腰が上がってしまうと、看護師さんが「動かないでねー」と言い腰のあたりを押さえます。
相変わらず強めの触診が続きます。睾丸の形状を確認するように触るため、時折コリンと睾丸が逃げます。
そうこうするうちにあの疼きがやってきて、あっという間に勃起してしまいました。
これまでも診察中に自然と勃起することはあったため、特に気にしませんでしたが、今回は精通時の快感に直結し、いつもよりカチカチに脈を打ち出しました。
医師は「よし大丈夫。特に問題はないようです。やはり精液でしょう」と母に告げると、わたしの頭をポンポンと軽く叩きました。
母は苦笑しながらも、どことなく恥ずかしそうにお礼を口にしました。
もちろんわたしには、その精液という言葉の意味は理解できませんでしたが、その「精液」というものが、安心で嬉しいもの、というニュアンスは伝わってきました。
そしていつものローテーション通り、皮むきに入ります。
カチカチのペニスを手に、看護師さんが少しずつ皮を下げます。ムキッムキッ。わたしは顔を歪めました。でもそれは、いつものようなピリッとする痛みからではなく、疼きの延長線上にあるものです。
「いたいかなぁ~すこーしだけ頑張ろうねー」
おそらく母よりずっと若い看護師は、そう励ましながら皮むきをゆっくりと続けます。
「でも、だいぶ下がるようになってきましたねー。中の色も落ち着いてきてるようですよ」
確かに、その頃になると、皮は亀頭の半分くらいまで下りてくるようになり、先の方はサーモンピンクから肌色に近くなってきていました。すると母は
「お風呂場でも週に一度頑張ってるんだもんねぇ」と、小首を傾げながら微笑みかけてくれました。
しかしわたしは、その母の微笑みに何の反応も示すことはできませんでした。
なぜなら、わたしのペニスは、もう限界に近づいていたからです。
<続きます>
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