母の後ろ姿に、『行こう。ちょっと触れ。今なら行ける。』と何度も葛藤をしました。
しかし、結局は『母親に触れようとするなど簡単なことではない。』と思い知らされるんです。
その頃の母は、『何らかのアクションは起こしてくるだろうと思ってた。』と後から聞かされました。
覚悟を決め、僕を待ってもくれていたんです。しかし、僕にはそれがなかなか出来ませんでした。
彼岸です。母と二人で墓参りを済ませ、墓地の駐車場へ戻ります。
エンジンを掛けようとした時、母は『帰ったら、お父さんいるよ。』と言って来てくれたのです。
少し、目が覚めました。言葉の意味が分かったからです。
母のブラウスの袖を摘み、その腕に触れます。母は窓ガラスを眺めて、知らない振りを通しました。
母の肩に手を掛けると、手は怯えながら胸元へと向かいます。
胸元を押え、そして掴むのです。
柔らかい胸。思っていたよりも、全然柔らかさを感じます。
『誰が触っていいって言ったー?』と言われましたが、顔がもうおどけていました。
『ほんと、顔を真っ赤にして鬼のような顔してたわー。』、この時のことを後に母はそう言っています。
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