家に着くと、弟は不在。出迎えた父が、「ちょっと待て。」と玄関で僕と母を止めました。
父は僕達二人に向かって、清めの塩を振ってくれるのです。お葬式帰りですから。
そんな優しい父を見ますが、母とセックスをしてきたことに少しも悪気は感じません。
むしろ、「お前さえいなければ。」と、ジャマ存在にすら感じてしまいます。
僕は部屋へと戻り、母との初めてのセックスのことを考えていました。
でも、たった2時間ほど前のことなのに、それがどこか遠くに感じてしまうのはなぜでしょうか。
実感が沸かないのです。
午後6時。帰ってきた弟とも一緒に、家族全員での夕食が始まりました。
日曜日の夜だけは、なぜか全員が揃うのです。母はいつもと変わらない母でした。
主婦と母親を演じ、話を振っては僕達家族を明るくしてくれます。
そんな母を見ていると、昼間のことが信じられなくもなります。
「本当にこの人だったんだろうか。。。」
午後9時になり、父も弟も僕も、自分の部屋へと消えました。
主婦、そして母親である母が現れたのは、長男の部屋でした。
「どうー?普通ー?」
僕を思い、そう心配してくれるのです。僕は、「うん。普通。。」と冷たく答えます。
母に変な勘繰りをされたくなくて、いつもの僕を演じたのです。
「そうー。じゃあ、おやすみー。」と言って母は消えました。いつもの母でした。
この家では、どうしてもそうなってしまうのです。
※元投稿はこちら >>