お台場に着いたのは11時過ぎこと。従姉の奈美さんに連れられ、ユニコーンガンダムを見に行きます。
母以外の女性とのデートなど経験がなく、緊張もしてしまい、もう僕には苦痛でしかありません。
隣を歩く奈美さんですが、40歳くらいなのにとても若く感じます。話し方から気も若い感じ。
そして、やはり都会の女性。キマってるのです。それに比べ、僕は田舎者丸出し。
彼女が周りを行く人に、「変に思われてないのか?」と心配までしてしまうのです。
「ほんと会えなかったねぇー?従姉弟なのに。。従姉弟って感じ、ないかぁ~。。年も離れてるしねぇ?。。」
明るく話してくれる彼女に、僕はただ愛想の作り笑顔を浮かべるだけでした。
ガンダムを見終わり、僕達は食事へと向かいます。スマホでレストランを探し、そちらへと向かいます。
すると、「一緒に手繋ごうかぁー?」と彼女が言って来ました。
焦る僕に、「なんか楽しいし。。デート気分でいこうかぁー?。。おばさんだけど。。」と言われます。
僕は、「そうですね。。」と答えました。たった一言ですが、とても勇気が必要でした。
握った従姉の手は母よりも大きく、母よりも温かい手です。
人とぶつかれば、すぐに離れてしまうほどに細々と繋がれていますが、気分は高揚をしています。
女性の肌に触れるというのは、やはり男は気分がいいのです。
帰り道、「マサくん、馴れてるのねぇ~?積極的な方~?」と奈美さんに言われました。
あまりの心地よさに、手が離れては、また彼女の手を探してしまっていたようです。
そう言われ、初めて恥ずかしさを覚えました。自分でも、全然気がつかなかったのですから。
結局、その手は旗の台駅まで離れることはありませんでした。
「女性とはうまく付き合えない。」、そう思っていた僕ですが、彼女のおかげで少しだけ自信がつきました。
「僕、意外とイケるかも。」と変な自信まで着いてしまうのです。
「ついでだから、夕食も食べていこうかぁー?」
奈美さんに言われ、僕は「そうですね。」と答えました。
二人は手を繋いだまま、旗の台の商店街を歩いて行きます。
母には申し訳ないですが、この時間だけは母のことは忘れていました。
隣にいるのは従姉とは言え、奈美さんを彼女のように思って歩いています。
楽しくないと思っていたデート。しかし、それはとても貴重な経験をさせてくれるものとなったのです。
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