午前10時過ぎ。
僕と母はある光景に目を奪われていました。そこは東京渋谷。あまりの人の多さです。
田舎者の僕と母は、ただただ「人、多っ!」としか言葉が出ません。
気の若い母が気にしていた、「渋谷」。来たのはいいけど、都会人に押されて何も出来ずに終わります。
僕たち田舎者は山手線に乗り、「五反田」へと向かいます。
田舎では考えられないような乗客の多さに紛れ、僕と母を乗せた電車は走ります。
乗り継いだのは、「東急池上線」。乗り換え馴れてない僕達は都会人に着いていくように乗り換えるのです。
そして、僕たちが向かうのは、「品川区」。名前だけで、人の多さを感じます。
そして、目的地である「旗の台」という駅に着いたのです。
しかし、思いのほか、田舎を感じます。渋谷を先に見たせいでしょうか。
駅を降りると、商店街が広がっていて、更に田舎を感じさせるのです。
「いらっしゃーい!」
駅を降りると、駆け寄ってきた女性に声を掛けられます。恵子伯母さんでした。
母は安心したのか、「遠かったぁ~!」と言い、伯母の手を取りました。
「マサくんもありがとうねぇ~。。」、恵子伯母さんからそう言われ、僕もお辞儀をして答えます。
「そしたら、行くー?」、恵子伯母さんに連れられ、僕と母はこの町を歩いて進むのです。
伯母と母は並んで歩いています。久々の姉妹です。話すこともあるでしょう。
僕はと言えば、二人の後に着いて、都会の商店街を眺めながら歩きます。
やはり、都会の女性はあか抜けしてます。中学生でも、なかなかの色気です。
そんなのを見せつけられると、「こんな女性と付き合えるはずない。」と自信を無くしてしまうのです。
心なしか、坂の多いところでした。歩くこと10分。ようやく、恵子伯母さんの家に着くのでした。
普通のおうちでした。田舎にでもあるような、普通のおうち。
中に入ってリビングへと通されますが、中も至って普通の家です。
少しして、ある女性が現れます。40歳くらいのおばさんでした。
しかし、「マサフミくんでしょー?私、従姉になるのよ。わすれたよねぇー?」と伯母さんの娘さんです。
子供が遅かった母ですから、僕の従姉となると、このくらいの年の差がついてしまうのです。
名前を、「奈美」さんと言います。
僕は戸惑っていました。母は女性ですから、うまく話しも出来ますが、僕は違います。
こんな時、上手い会話など出来ず、まして目の前は皆さん女性です。苦手なのです。
夕食になり、僕達4人はその町にあったレストランへと向かいます。
回りは都会人、目の前には女性3人、僕に気の休まるところなどありません。
愛想笑いしか出来ずない僕には、とても苦痛な旅行が始まっていたのです。
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