「マサくんでもナオちゃんでも、どっちか時間あるー?」
それは土曜日の朝のこと。弟は、「僕、パス」と返事をします。
母もその事を分かっています。「ならマサくん、一緒に行こかー。」と言いました。
しかしそれは僕ではなく、父に向けて言ったこと。怪しまれないように。。なのです。
母と向かったのは、母の生家。85歳を過ぎたお祖母ちゃんが一人で住んでいます。
御先祖へのお供えものを買い、着いたのはお昼の11時くらい。お祖母ちゃんが迎えてくれます。
お祖母ちゃんは、ここ数年でかなり老いた感じがします。丈夫だった耳もかなり遠くなったようです。
母もそんなお祖母ちゃんに気を使って話し掛けています。母の母ですから。
その会話のなか、「今日、マサフミと泊まるわねぇー!」と母の大きな声でした。
日帰りだと思っていただけに、とても喜びました。
母と炒られるからではありません。僕は、この家とお祖母ちゃんが大好きだからです。
小さい頃はここに泊まるのが好きで、帰ろうとする両親を泣いて困らせていたほどです。
夜になり、「マサくん、お祖母ちゃんと寝る?どうするー?」と母が聞いて来ます。
お祖母ちゃんとなら1階、母となら2階です。僕は迷わず、「2階で寝るわ。」と答えました。
そして、「おやすみねぇ。」と祖母に告げると、僕と母は2階へと向かうのでした。
2階には大きな仏壇の置かれた部屋があります。いつでも僕たちが泊まれるように、布団はたたんで置かれています。
母は2つ広げると、「先に寝てなさい。おやすみー。」と一度この部屋を出ました。
久しぶりの祖母と、またまだ話がしたいようです。
再び母が戻ってきたのは、一時間近く経ってからでした。
僕を見た母は、「まだ起きてたのー?寝なよー。」と言って来ます。
しかし、寝れるはずもありません。大好きな祖母ではなく、母の方とったからこの2階にしたのですから。
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