「2時頃かなぁ~?」と大袈裟に考えていた引っ越しですが、終わったのは12時。
弟と母の協力もあったが、所詮は軽トラック2車分の荷物です。たいしたことはなかったのだ。
「車、替えてくるー?お母さん、お昼ごはん作るからー。。」
母にそう言われ、僕は借りた軽トラックを返すために会社へと向かいました。
車を替え、マンションに着いたのは、お昼1時頃でした。
部屋の扉を開くと、中から嫌な臭いがしてきます。独特な臭いです。
キッチンを覗くと湯気が立っていて、そこに母の姿がありました。
「おかえりっー!」と言って、準備しているのはお蕎麦のようです。「引っ越し蕎麦」のつもりでしょう。
テーブルにお蕎麦が並べられ、母も正面に座ります。2つしかないイスは埋まりました。
「お父さんは?」と聞くと、「昨日のカレーがある。。」と言います。さすが主婦です。
蕎麦を食べながら、「隣、どんな人かなぁ~?」と母と会話を楽しもうとします。
しかし、「誰も住んでないみたいよー。」と返事が返って来ました。
母は僕の居ない間に、マンションの住人の状況を確認してきたようです。
このマンションは3階建て。2つの階段があって、左右に部屋がある。つまり、全部で12部屋。
僕は1階の一番左の部屋。この6部屋に住んでいるのは、3階の一部屋のみ。
左の階段を使用するのは、僕とその方しか居ないようです。
「昔は、全部住んでたのにねぇー?。。」と、母はどこか寂しげに答えていました。
食事が終わり、洗いものをするために、母はキッチンに立ちます。
そんな母は、「お風呂、一回洗いなさい。汚いからー。」と言ってきました。
僕はスボンジとバスマジックリンを持ち、戦場へと向かいます。
馴れてない泡泡との格闘は続き、お湯で流してみますが、思ったほどの輝きはありません。古いのです。
「マサくんー?しっかり、ちゃんと洗うのよぉー!二人で入るんだからねぇー!」
母のこの言葉に、お風呂は完璧な輝きを取り戻すのでした。
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