弟に彼女が出来たことは朗報だった。家を空ける時間は増えるし、母を取られる心配もない。
疑心暗鬼なのか、父だけでなく、「お前も母さんを狙っているんじゃないか?」と弟にまでにそんな心配をしていたのだ。
土曜日のお昼はテレビを観ながら、父と3人でのごはん。
ローカル局では、公園で咲いた花畑のニュースをしています。それを観た母が、「うわぁ、きれい。」と言って興味を示します。
そして、「お花、見に行かない?」と僕達を誘うのです。父は予想通りの却下でした。
僕が、「行こうか?」と答えると父は妙な反応をします。父もそうですが、僕もそんなタイプではないのです。
母は、「マサくんと行って来るわ。」と父に告げ、出掛ける準備に掛かります。
父は「ゆっくりして来いやぁ。俺は家でゆっくりしてるわ。」と僕達を送り出すのです。
テレビを観た連中が押し掛けているのでしょうか。公園へ向かう田舎道が混雑を始めます。
それは近づくほどに車は増え、諦めてUターンをする人達も見えます。
そしてついに、「どうするー?やめるー?」と母から声を掛けられるのです。
普段なら40分あれば着くはずが、1時間半経っても寄りつけないのですから。
「無理そうやね。」と僕が答えると、母はハンドルを切り、来た道を戻り始めるのでした。
声を掛けて連れ出した責任でしょうか。母はどこか僕に気を使い始めました。
「どこか行きたいところある?時間あるから行くよ。」と言って来るのです。
「カラオケ。。」
今尚、なぜその選択になったのかは分かりません。僕自身、ほとんど行ったこともありませんし、母が行ってるイメージも沸きません。
母が隣についてくれているから、普段しないことをしたくなったのだと思います。
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