【息子の友達との後日談 (3)】
リビングでのダイチと翔馬君との会話を、ワタシはキッチンに
立ってそれとなく聞いていました。テーマパークでの出来事など
の話に交じって、友達の誰々の彼女が…、とか卒業式の日に告っ
て…、とか年頃の男の子らしい会話も聞こえてきました。どうや
ら翔馬君には秋の修学旅行からいっとき交際している女子生徒さ
んがいたようですが、別々の高校へ進学することとなったことも
あり別れてしまったという経緯のようです。(ダイチにも意中の
子がいたようですが結局告白できずに終わってしまったようです。
「アイツ可愛かったよな~」などと屈託なく笑っていました。)
それから2人一緒に入浴を済ませ、ダイチはいつもの寝間着に、
翔馬君はスウェット姿になって、しばらくテレビを観ていたり、
歯磨きなどをして過ごしていました。ダイチは眠たそうな顔をし
ていましたが、翔馬君は風呂に入って多少パっとしたのか、血色
のいい表情で、まだ元気のある様子でした。中学2年の頃と比べ
もちろん身長も伸びていますし、表情も凛々しく、肩幅なども増
した印象です。ワタシは悪戯に翔馬君の下半身を妄想してしまい
ました。
0時を回ったタイミングで2人はダイチの部屋へ上がっていっ
たのですが、ダイチがトイレに入っている短い時間に、ワタシと
翔馬君でお喋りをしました。「もう眠いでしょ」と声をかけると
「いやそんなでも。帰りの電車で爆睡したんで」と翔馬君からの
返答がありました。聞くと、ダイチや友達は電車の中でもずっと
スマホゲームに興じていたのだそうです。「ダイチはソッコーで
寝ちゃうと思います」と笑顔を見せる翔馬君です。そしてふと気
づいたようです。「あれ? ダイチのお兄さんとかお父さんっても
う寝ちゃったんですか?」
ワタシは、長男は部活動合宿へ、主人は出張中であることを伝
えました。「まだしばらくは部屋で雑誌でも読みながら起きてい
るわ。ワタシも日中ゆっくりしていたから、そんなに眠たくない
のよね」。そしてこう続けました。
「ダイチがすぐに寝ちゃったら、もう少しお喋りしようか。高校
生活に入ったら、今度はいつ泊まりに来られるか分からないもんね」
(続く)
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