お互いの見せっこはしばらく定期的におこなわれました。
夏の近い土曜の午後だったでしょうか、少年は窓から
外を見ていました。わたしはベランダに出ました。そして
少年の方を見ると目線が合ったので、何の気なしに、と
いうかごく自然に右手を大きく上げて、手のひらで
おいでおいでの合図をしました。少年はそっぽを向きま
した。だからホントにわたしのところに来たりすること
ないだろうなと思ったのです。それで、近くまで買い物に
出かけてしまったのでした。で、買い物から帰ってきたとき
アパートの玄関ドアのところにその少年が立ってて
呼び出しを押そうかどうしようか迷ってる様子のところに
出くわしました。少年は、逃げ帰ろうとしましたが、
わたしがとめました。
「すいません。来ちゃった。いけなかったですよね。」
としおらしいのが無性にかわいく感じられて、ここで
誰かに見られてもと思ってとにかく中へと少年を入れて
から、わたしがドアを閉めました。
「狭くて暑苦しいけど、とりあえず上がって。」
少年は素直に上がりました。ちょっとお茶しながら、
単刀直入に切り出しました。
「いつも、見せてくれてありがと。」
「おねえさんこそ・・・」
「やっぱり、見えてた?」
「はい。しっかり。」
「名前は?」
「カツミっす。」
「そう。カッちゃんでいいかしら?」
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