僅かな望みは絶たれた。
なかなか切り出せず、会話もないまま二人で夕食。
娘、直ぐに部屋へと消える。
針のムシロ状態の俺、それでももしかしたらカナのパンツのことは俺の思い過ごしかも、なんてチッチャな期待もまだあった。
カナがいつもより長いお風呂に入り、出てくるとドライヤーなど必要な物を抱えて部屋へと消える。取り憑く島もない。
飲みたくもないコーヒーを淹れて飲み、俺も風呂に入った。
ヤッパ気にるのが洗濯機の中だわ。
服を脱ぐ前に洗濯機の蓋を開けて愕然!
そこにはカナの使ったバスタオルと絞った濡れタオルがあった。
それを退かすとカナのパンツが出てきたけど
「うわ…」思わず呻いたよ。
2枚あったけど、1枚は生乾き、もう1枚は濡れていたけどシッカリ絞ってあった。
どっちも洗ってあった。
生乾きの方は学校から帰って直ぐに洗ったのかな、
濡れた方はお風呂前に脱いで、風呂の中でシッカリ洗ったような感じ。
もう、一縷の望みも絶たれたって事だ。
カナは自分の汚れた下着でパパがヘンタイ行為をしてる事に気づいてるのが
確定したわけだ。
娘の部屋に行って何かを話しても聞いてもらえるとは到底思えなかったよ。
洗濯機を稼働させて風呂に入った。
もちろん自慰もしない。
まあ、連チャンで抜くほど若くもねえからさ。それはいいよ。
風呂から出て、後は自分の部屋に籠もった。
階段を登ってるとカナの声、誰かと電話で話してた。
階段を登りきった場所、一箇所だけギシッと軋む場所がある。
その音が聞こえたのかカナの話し声がピタッとしなくなった。
俺が部屋に入って来るかも知れない恐怖心か、
「カナ二はルリのパパミタイナこと、シナイでヨ」
生々しく頭の中で、カナのその言葉が渦巻いたんだ。
娘の部屋の前を通り過ぎ、自分の部屋に入ってドアを閉めると直ぐにカナが電話を再開する声が聞こえた。
誰と話してるのか、笑い声とかは全く無い。
そして今に至る。
妻を亡くした時と同じ位の喪失感、孤独感を今俺は感じてる。
明日こそ、ダメ元で娘と向き合い、話し合う。
いや、向き合うとか、話し合うとかじゃねえな、ひたすら謝り、二度としないからと謝り倒す、だな。
思春期の多感な時期だと言うのに、こんな目に合わせる俺はマジでクソオヤジだわな。
コーヒーなんか飲むんじゃなかった。
胃が痛えわ。
エッチ話が一つもなく、申し訳もごじゃりませぬ。
長い電話がようやく終わったらしい。
カナの声が聞こえなくなった。
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