夜中に妹から電話がある。1時に近い頃だ。
怪しい吐息、細く短い喘ぎごえ。聞きなれた妹の声。
「ほら、大好きな優しいお兄ちゃんに言ってやれ」
「……、、……」
「はらぁ、さっき練習しただろ、、ほらっ言え」
たぶんオープンボイス設定だろうと思った。妹のスマホを使って二人の性行為のあの声を俺に聞かせていた。
「おにいちゃん、、ごめん、、、こめん」
「ちがうだろ、ちゃんと言いなさい」
「パパの、、パパの、、おちんぽはいってる、、おにいちゃん、、、ごめんなさいっ」
まだ1週間しか経っていないのに、自分でセックスをするのは危険だとか言っておきながらこのクソ親父はっ!
怒りでいっぺんに目が覚め血圧の急上昇からか激しい頭痛が襲った。
「やめろっ!やめてやれ、頼むからやめてくれ、オヤジっ!まだヤバいってオヤジが言ったんだぞ」
「勘違いするな、、、ほら、おにいちゃんが心配してるぞ……言ってやれ」
「あそこに、、入れてないから、、、おしりだから」
「おおー、たまらんっ、、、さいこうだぞお前のかわいいいもうとはっ!」
バチっ!尻を叩く音、妹の悲鳴
地獄だ。これは地獄だと思った。こいつ、狂ってやがる、そう思った。
「おおっ、、、ああダメだっ、、○○○ッ!」
妹の名前を呼ぶ断末魔のオヤジの喜びの声を最後に電話が切れた。
眠れない夜中を過ごしていると妹からラインの着信。もう3時過ぎだった。恐々開けてみると短く「こめん」とだけあった。
「おまえはなんにも悪くないから、全部俺はわかってるから、だいじょうぶだから」と返した。そして
「今からでも迎えに行ってやろうか?」と送るとしばらくしてから
「ありがとうお兄ちゃん、でもお兄ちゃんがいてくれるだけでだいじょうぶ」
「電話で話せるか?」と返すと「ごめん、、ダメかも」と……泣いてるのかも知れないと思った。
「ごめんね夜中に、おやすみなさいお兄ちゃん」
そして途切れた。
妹が居るのは地獄なのか……それとも天国なのか考えていた。
おそらく天国と地獄は同じ場所にあるのだろう。そうでなければ妹があまりにも可哀想過ぎる。
そして夜が明けた。
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