「お兄ちゃんのアパートがいい」
クリニックから出てきた妹に月並みの「大丈夫か?」としか声をかけられなかった。
「ん、」短くそれだけを言った妹にこのあとどうするかを聞くと俺の部屋に来たいという。もちろんOKだ。
医者との性交の話はしなかったが施術前に膣洗浄をされたのだという。
平静を装ってはいてもまだ14のガキなのだ。怖かったろうと思うと胸が傷んだ。
「あー、でもさセックスは最低出血が止まっても2週間はダメだって、それでもいいかな」と言う。俺のアパートに行くけどセックスはできないことを謝っているのだ。
「ばか、いいに決まってんだろ」そう言ったが親父は何て言うか……「俺はいいけど」といいかけるとそれを察して妹が追いかける。
「パパにはさ、別のところを使わせるから大丈夫」と、ゲラゲラ笑転げた。
そんな妹が可哀想で目頭が潤んでしまった。
そんな俺の顔を前屈みにセカンドシートから覗きこむように見ると「いもーとが可哀想だと泣いてんの?」と言ってまた笑ったあと真顔になり窓の外に目をやり呟いた。
「やさしーなぁ、お兄ちゃん」
なぜ横を向いたかは明らかだった。妹も泣いていたんだ。
セカンドシートをリクライニングして眠っている。
疲れているのだと思う。
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