結局母親は家まで送り届けてきた。明日はレナを家に直接帰す。
母親はもうパートをやめていて明日は家にいるという。車を降りてセカンドシートに座った娘に話しかけた。窓を開けてやると「お兄ちゃんに遊んでもらってね」笑顔でレナの頬を指先で撫でた。レナは無言でいつものように地の底を覗きこむようぬ眼差しのまま頷きもしない。チョッと見には慣れないと怖いくらいだ。
「じゃあ、レナをヨロシクおねがいします」と言う母親に会釈をすると車を走らせた。
ルームミラーで確認すると母親の姿はもう見えなかった。本当に親として娘を愛しているのか疑わしいが今日のレナは本当に可愛らしく仕上がっている。
途中でハンバーグレストランで夕食を食べて今は俺の目の前でタブレットでYouTubeゎ見ている。相変わらず笑顔もない。俺が動くとその度に俺を振り返るが目は会わせない。そろそろ風呂に誘おうかと……
10歳のガキにこんなに緊張して指が震えている自分が情けない。
ツインテールの髪、細いうなじ、何かの大きな白いロゴの入った黒いパーカー、チェックの段フリルのミニスカートに黒のニーハイソックス。
俺はこれからケダモノとなる。まだほんの少し残っている理性と罪悪感が俺を懸命に思い止まらせようと心の中でざわついているが、すでにこの目の前のか細く小さな背中は俺というケダモノの餌となる運命だ。
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