朝、妹と顔を合わせるとやはり伏せ目で俺と目を合わせない。
親父とした……いや、親父に性行為されたことの俺に対する罪悪感を顔に滲ませていた。勤めて明るく声をかけた。
「おはよう」と。やっと俺の顔をチラッと見上げて直ぐに目を伏せると頷いて「おはよ……」と答える。
そんな妹を見ているのがつらい。つい最近まで親父の言いなり、セックスドールだった子供が自我に目覚めつつある。もしかすると妹を苦しめているのは俺の方なんじゃないかとさえ思う。
「もうすぐ引っ越し業者がくるから応援頼むわ」と言うとやっと少しだけ微笑んでくれて「お、」と短く返事をくれた。
勝手な屁理屈かも知れないけど、毒を抜くには毒を使う。向こうで荷物の整理が始まり二人っきりになったら妹の体から親父の匂いを吐き出させてやる。
妹の体に寄生した親父の悪意を……
これは親父と俺との一人の同じ女を奪い合う戦いだ。
必ずかたなければならないのだ。
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