親父のクリニックは午後は休診なので籍を入れた報告と新しい継母となったレナの母親の紹介を改めてしたいと言い出したので妹も含めて食事会に行ってきた。
妹は新しい母親とは目も合わせず、話しかけられると生返事をするばかり。レナは相変わらず地の底を遠い目をして見つめたまま時折意味不明な独り言をブツブツと呟いている。親父は酒が入ったこともあって独り陽気に終始楽し気に盛り上がっていた。
酔っ払った親父が皆を乗せて車を運転してきた俺にもワインなど勧める。このクソさ加減にイライラしていると写真を撮ろうという話になった。何故か自分は入らず俺の前にレナを立たせ右に妹、左には新妻にと指定された。
「レナの腰に腕を回せよ、そーそー。○○○はもう少しお兄ちゃんに寄って、、お前も(母親)もう少し寄せて、、もっとっとだよ」たかがスマホの撮影なのに細かい指示をうるさく言ったあと何枚か撮った。
妹の香りは仄かで自然なものだが母親の香水は近づいてみると結構きつくて参った。参ったのは匂いだけじゃなく胸を俺の腕に押し付けてきたこと。妹はそれに気づいて母親を睨み付けるし間に入った俺は針のムシロ状態だった。早く終わらないかと思っていたら後ろからお腹に手を回した俺の手に突然レナの暖かな手が被ってきた。レナのツインテールの髪を上から見下ろすとレナは全く反応なく下無言でを向いているだけだった。レナの手が俺の手を握ってきたので「レナ、どうした?」と聞いたが「あかるいよね……でもこれくらいがワタシほんとうはスキ」とか呟くだけだった。良く言えばいつもと同じのレナで逆に安心した。
「レナは新しいお兄ちゃんが大好きなのよね」母親がそんなレナに笑顔で話しかけると妹が親父にもうそろそろ終わりにして帰ろうと言い出したのでようやくミニ御披露目宴会は愛でたく終了となった。
帰りの車は親父が妹の腰を抱き寄せて離さないのでレナと三人リアシートに座り母親がセカンドに座った。
帰りの道のりは20分ほどだったが親父は酔って眠ってしまい妹に寄りかかって動かない。ルームミラーには妹の顔が真ん中に写っていてずっと俺の顔を見ている。母親もかなりワインを飲んでいて俺の方に頭を倒してくるのが気になるようだった。
母親の手が俺の太ももに乗った時、とうとう妹がキレた。
「ねえっ!、チョッとその手をどかしなよっ、運転のジャマだろうよっ!」驚くような大きな声で叫んだ。
母親が手を引っ込めると酔っていたからごめんなさいねと俺に謝ったが手を乗せた場所が股間に近く、しかも内腿に当たっていたので明らかに故意に触れていた。リアシートの中央に座っていた妹の目にもそう見えたのだろう。あまりの剣幕に親父が一瞬寝ぼけたように何かを妹に言うと妹の乳房を揉むようにして手を当て抱きつこうとしたのを妹がその手を掴んで押し戻すのをミラーで見ていた。俺の目を気にしている様子の妹と目が合ったので慰めた。
「もうすぐ家に着くから、我慢してな」と。
しつこくチチを揉もうとする親父の手を押さえながら妹が怒る。「もおっ、酒臭いんだよパパっ、のみすぎだってっ!さわんなよもおっ!」
レナは相変わらず何かをずっと闇に向かって言っていたが何を言っているのかはわからなかった。
ガレージから親父を抱き抱えて家に運び2階の部屋までは運べず下の和室に布団を敷いて寝かせた。
母親とレナは2階の親父のベッドで寝ると言うので妹に「お前はどうする?」と聞くと明日は朝から例の悪ガキ三人とブクロに遊びに行くから部屋で寝ると言う。
「きのう、あんだけヤらせてあげたんだから今夜はモーいーだろ?」とからかう。
「じゃあキスだけで帰るよ」と腰に手を回して抱き寄せる。「歯をみがいてねえからヤアだっ」と顔を背けるのを強引に唇を合わせた。嫌がっている割には直ぐに目を閉じ舌を俺の歯のあいだから差し入れてきた。
頭と背中を撫で擦りながら数分もキスを続けた。
もう寝ろと言ったのに車まで送ってくれた妹に「明日は出掛けるならマスクと三密はしっかりとな」と声をかけると開けた運転席側の窓から顔を入れてきて軽くキスをしてくれると「あんなベロチューしといて、サンミツゆーか」クスクス笑って「おやすみなさい」と言う妹に手を振る。動き出す車に向かって最後に嬉しい一言が聞けた。
「私、おにいちゃん、だいすき」と、
「ん、俺もお前のことががだいすきだよ」
声を交わして車を走らせると立ちすくむ妹の姿が小さくなって暗闇に消えるまでルームミラーで眺めていた。
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