その辺は今はまだ何とも……つか、俺はもう家を出るつもりで話を進めているわけで……
そのことも含めてどうも妹の行動がよくわからないところがある。
昨夜は結局俺は連日の寝不足が祟って一時半までは記憶にあるんだけど気がついたら妹が隣で寝息をたてていたというオチとなった。時計を見ればもう六時を回っていた。俺が目覚めた切っ掛けが俺の部屋のドアを誰かが閉めた気配を感じたからでそれが夢でなければ親父が俺と妹がベッドで寝ているのを確めたということだろう。
その時間から親父のいる家で妹を抱くという根性がなくそのまま妹を寝かせておくことにした。
背中向きになって寝ている妹の髪に鼻を近づけていつもの甘い香りを嗅いでいると妹もその気配に気づいたのか寝返りを打って俺に抱きついてきた。
「起こしちゃったか……」俺が髪を撫でて囁くと眠そうな目を開けて「ごめんね…待ちきれなかったよね」と言う。
キスを求めると素直に受け止めてくれた。
「親父がさっき覗きにきてたぞ」と唇をはなして言うと笑顔を見せる。「べつに……かまわないし」と言う。
「だってさ、なにもヤってなかったし」と……確かに。
7時頃に二人で下に降りていくと親父がコーヒーを淹れていた。妹が卵を焼き始めベーコンの焼けるいい臭いがする。俺は家政婦さんの作りおいてくれていたポテトサラダを出しコーンクリームスープを小鍋で暖める。まるで何事もない普通の家庭のように朝食風景が始まった。
「お前、アパートは決めたのか」親父がボソッと言う。
「まあ、二軒にまでは絞った」そう答えると家賃とかを聞いてきたので答えると俺が気に入った方に決めろと言う。
「それくらいの家賃なら俺が出してやる」コーヒーを飲みながら俺を見ずに言う。意外な親父の提案の真意がつかめずに妹の顔を見ると「ラッキ~」と親指を立ててみせた。
「マジか……いいのか」と聞くと鼻で親父が笑って「お前みたいな安給料がやってける訳ねえだろ……他は面倒みれないからな」
「○○万じゃあねぇ~」妹が笑った。
「おまえ、何で俺の給料知ってんだよ」同年代なら決して安いとは思えない給料だとは思うが妹に話したことはないはず。
「おまえ、俺のスマホ見たな」と言うと舌を出して笑う。給与他支給額明細は紙では来ないから携帯を覗き見したに違いない。ロックかけてない俺が悪いんだが。
「そういう事なら今日決めてくる」そう答えたあと妹に「お前も一緒に行って部屋を見ておくか?」と言うと意外な反応で即答で「うんっ!イクイク♪」と言った。
昼前から親父はどこかに出かけ俺たちも簡単な昼食をとったあと不動産屋と待ち合わせ物件の内覧を妹とした。一緒に住む気もないクセに妹がアレコレと家具の位置などを勝手に決めていた。家の俺の家具は殆ど持ち込む予定だ。ベッドも持ってくる。
「ダブル置いたらケッコーせまくね?」と寝室を見回す妹の言葉にダブルベッドを予定しているのかと不動産屋の綺麗なお姉さんが言う。
「だってね、彼女とか来たときね~」妹がいたずらっぽく笑った。そして更に「たまにくると思うしっ!ねっ♪」意味深な事を言うのだ。
そのあと契約を交わしに不動産屋へ行き決めてきた。
家へと向かう帰りの車の中で妹に部屋は気に入ったかと聞くと「いいんじゃね?」と言う。
「お前の物はどこに置くかな」と探りをかけると俺の肩を叩いて「たまにはやらせに行ってやっから」笑う。
「今夜はどうだ」と言うとセカンドシートで膝を抱え外を見ながら「いーよ、きのう振っちゃったたしさ」
家のガレージで車を降りるときにドアを開けながら俺を振り返って
「10時には行くよ」笑顔でそう言った。
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