妹を連れて家を出るというのは全く気がつかなかったですね。なるほど……
俺がいま親父のことを糾弾し責めることができずにいるのは親父の狡猾な戦略に嵌まって妹を犯してしまった、そして今なお妹の体から離れられずに性的な関係を続けているからなのだと思う。
妹から怖い話を聞いた。
俺が二浪の末に何とか目的の大学に入り家を出て独り暮らしを始めた頃の話だ。
俺が家からいなくなると親父は妹に何かの薬を飲ませ始めたという。幼かった妹は父親に言われるがままそれを飲んでいた。
その白く小さな錠剤は飲んで暫くすると体がダルくなり頭がボンヤリとしたという。そして何を言われても親父が自分に何をしても抵抗するのも面倒な、いやそれ以前に何もかもが面倒でどうでも良くなってしまうというのだ。そんな状態の妹を、自分の娘に親父は……
それ以上は書かないが今日のあの子を見ていて妹はその頃の事を思い出していたのだという。
俺と妹がこの家を出てしまったらあの子はどうなってしまうのか。俺が浪人生活で家にいた頃は親父も妹にはそんなことはできなかったわけで、それと同じことがおきるのではないか。
話はどんどん深刻になってしまい妹への近親姦というエロ話どころじゃなくなっている。
しかも、多分あの母親、気づいてる。俺の目にはそう見えた。親父が妹の時と同じ様にあの子に薬を盛ってるかどうかは定かではなく母親がそれを黙認してるかどうかもわからない。あの子の身形を見る限り母親の深い愛情を見てとれるからだ。一切の手を抜くことなく頭から爪先まで娘を丁寧に手を尽くしているのがあの子を身形から伝わってきた。
それだけによりいっそうに見ていてツラいものがある。
どうすればいいのか。
妹との学費や生活費などは何とかなる収入は俺にもある。家を出ることに妹の同意があれば仮に親父の支援など無くとも可能だろう。だけどそうなったときあの子を狼の巣に独り放置することになる。万が一母親がそれを見て見ぬふりをしたなら…………
妹はきっとあの子を置いて家を出るとは決して言わないだろう。
むしろそんな事を言い出す俺を軽蔑し自分一人でもこの家に残ってあの子を守ってみせると言うかも知れない。
妹が風呂から出てきたらまた話してみようと思っているが……
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