弟の彼女は、私とは同学年ながら敬語を使う。
同い年の彼女から[おねえさん]と呼ばれるのは、照れ臭いものの、彼女が弟の嫁になれば、私にも[義姉]の振る舞いが求められる。
帰省した時に、父の実家で見てきた母の[嫁]としての務めを思い出す。
母は[義娘]として祖父母の世話をやき、実家で暮らす父の弟の嫁と一緒に、集まった親戚達の面倒までみていた。
陽気に酒宴を楽しむ男達に、普段は作らない料理を作り、よその家で洗濯や掃除までしている。
和気あいあいとした雰囲気ながら、封建的な男尊女卑を感じて、嫌悪感を覚えた事もあった。
結婚するという事、嫁になる現実を見せつけられ、母の[妻]とは別の一面を見てきた。
従妹弟の中では年長者だった私にも、子守りの役割が与えられていて、一緒に遊んだりもしていたが、上手に[姉]を演じて褒められても、あまり嬉しくは無かった。
我が家に嫁ぐ彼女も、妻としての権利を持つ代償に、嫁としての義務が課せられる。
夜毎、弟の性欲を満たす義務を果たす嫁は、自分の親や親戚からも「早く孫の顔が見たい」というプレッシャーをかけられて、肉便器のような生殖活動に励む。
嫁というのは、よほどのMでもなければ勤まらないのだろう。
子供の頃は、漠然と抱いていた憧れも、現実を知るほど絶望や失望に変わった。
職場の同僚や後輩達でも、結婚するようになり、周囲が私にも結婚を求めるようになると、親しかった関係さえも疎ましくなった。
リアルな結婚を選んだ弟にも、彼女を嫁にする気持ちを訊ねてみたが、あまり考えていないようだった。
縁談が進む中で、彼女に気持ちを確かめたりしたら、破談になりそうなので訊けないが、いずれは彼女も結婚の現実を思い知る事になる。
[いもうと(義妹)]になる彼女を案じながらも、私の中に潜むSの性分が奮える。
良いお義姉ちゃんになって、彼女を躾てあげる願望が膨らむ。
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