部屋で悶々としてました。
母はいつも通り、家事にパタパタしてるだけでした。
再び母の部屋、またティッシュに厳重にくるまれたコンドームを見ました。
現実にこれがある、昨夜母と弟がした、決定的証拠、そして俺が微かに聞いた声、それを思い出してました。
「知!」
背後から母の声が聞こえました。
手にしていたティッシュを母は見て、驚いたように、慌ててティッシュをむしり取りました。
「昨夜、俺トイレに起きたの、気づかなかった?」
母はギクッとした様子で俺を見ました。
「直に口でとか、お願いされてたよね?」
表情が強張る母でした。
「俺寝てるから大丈夫とか、直に言われてたよね?」
母はブルブル震えてました。
「んでやった結果がそれなんだよね?」
母が手にしたティッシュを指差しました。
母は顔を振って、違うと言いたげな様子でした。
「いつから?」
母はコンドームがくるまれたティッシュを握りしめ、ブルブル震えて、顔を振るばかりでした。
「怒ってる、とかじゃないんだ。ただ知りたいんだ。家族なんだから隠し事しないで欲しいな」
母は観念したように、口を開きました。
「知が就職で家を離れた後、二年くらい前から」
少し落ち着きを取り戻した様子の母でした。
落ち着きを取り戻したと言うより、諦めた、と言った方が正解かも。
「どうしてそうなった?」
母は躊躇せず言いました。
「いずれ直も高校出たら、いなくなるんだろうなと思ったら。なんか寂しいと思った。お父さん、知、直と、みんないなくなるんだろうなって」
がっくり肩を落とした感じの母でした。
「まさか母さん、自分から直を?」
母は、はっとしたように顔を上げ、手を左右に振りました。
「違う違う。あ、でも」
少し間を置いて、また母は話ました。
「寂しさを自分で慰めてた、それを直に見られた。襲われるみたいななったけど、母さん抵抗しなかったから、直と私、どっちもどっちかも」
俺は何故抵抗しなかったかを聞きました。
「力ではかなわない。でもそれ以上に、直に抵抗して、襲ってきた直の気持ちを傷つけたくなかったのが一つ。あとはやっぱり寂しかった。間違ってるのはわかってる、けど直の気持ちが離れていくのが怖くて抵抗出来ず、そのままずっと」
少し沈黙、母は続けました。
「そうこうしてるうちに、私も一人の女になってしまっていたの」
母の寂しそうな顔が印象的でした。
母は手にしたコンドームをくるんだティッシュを見ました。
※元投稿はこちら >>