その夜は、二人に明るい会話も無いまま、別々の部屋で眠れない夜を過ごした。
娘は達成感と期待感に興奮して、深夜まで指を使ってオナニーに興じていた。
父親は、愛娘との禁断の関係に墜ちた自分を恥じて、身悶えしていた。
夜中に娘の部屋から漏れてくる喘ぎ声は、妻の声に似ていて、生前の夫婦生活を思い出さずにはいられなかった。
妻と愛し合った時の思い出に、成長した娘の顔や身体が割り込み、妻への思いが娘に傾いて行く不安に悩んだ。
幸せだった家族の日々が、一夜にして崩壊したように絶望していた。
父親は寝室の仏壇の前に正座して、妻の位牌と遺影を眺めて、線香を焚くと、その香りで眠気を誘われ、位牌を抱き締めながら眠りについた。
翌日も、娘はいつも通りに出社したが、父親は寝不足で会社を休んだ。
一人で妻の眠る墓に行き、前夜に起きた事を、手を合わせて報告した。
思い出されるのは、娘と三人で遊んだ時の妻の笑顔ばかり。
悪戯した時に叱られた時の顔も、なぜか笑顔にスリ代わっていた。
そんな自分に腹を立て、帰りに居酒屋へ入ると、馴れない酒を注文した。
元々、酒に弱い父親は、直ぐに酔い潰れ、店主が仕事中だった娘に、父親のスマホから連絡を入れた。
娘の元には父親の勤める会社からも、心配する電話が入っていて、会社を早退して、急いで居酒屋へ迎えに行った。
娘を見た店主は、
「あれ?奥さんじゃないよね?娘さん?」
と訊いてきた。
酔い潰れて寝ていた父親は、うわ言のように、母親の名前を連呼していた。
「お父さん、起きて、」
居酒屋の座敷で布団に寝ていた父親は、娘の顔を見ても妻の名前で呼ぶ始末。
店主にタクシーを呼んで貰った娘は、会計を済ませてお礼を言うと、酔った父親をタクシーに乗せた。
酔っ払った父親は、タクシーの中でも娘の胸を触ってきた。
「やめてよ、お父さん、ダメだよ」
娘は運転手に聞こえないよう、小声で父親に話しかけた。
家に着くと、運転手さんに手伝って貰い、玄関先まで運んで貰った。
終始支離滅裂の言葉を並べていた父親が、泣きながら妻の名を呼び、
「すまない、すまない、」
と繰り返していた。
娘は、酔っ払った父親を玄関に寝かせたまま、自分の職場と父親の職場に連絡を入れると、父親が玄関先で妻の名前を叫び始めた。
「お父さん、近所迷惑だからやめて」
と言って近づくと、父親は豹変して、娘の腕を掴むと、床に押し倒した。
※元投稿はこちら >>