妻以外の女性を抱くのが初めてだった父親は、緊張していた。
入浴したおかげで、アルコールもすっかり抜けて、正気に戻っていた。
生前は、妻がゴムを着けてくれていたので、説明書の図を見ながら、挿入を待つ娘の傍らで、ゴムと格闘していた。
父親の前戯に、気持ちを高揚させていた娘は、黙ってゴムを装着している父親の背中を見つめていた。
(お父さん、ありがとう)
と何度も心の中で語りかけていた。
いつも甘えてばかりで、それでも嫌な顔もしないで、優しく笑ってくれていた父親に、感謝の気持ちが溢れて行く。
今日は、娘としての最後のワガママ。
(これが終わったら、あの人の良い奥さんになって、良い母親になって、孫の顔も見せてあげよう)
と決意していた。
父親が振り向くと、娘は涙目で見つめ、
「お父さん」
と呼び、腕を回して来た。
父親は娘に、
「チカラを抜いて、お父さんに任せなさい」
と言った。
娘の両脚を撫でるように開き、身体を割り込ませると、
(慎重に、慎重に、)
と、自分に言い聞かせて、ゆっくりと娘の中に侵入させた。
「あっ、うっ、」
初めての感覚に、娘も戸惑っていた。
この日が来る前に、エッチな動画を見て、予習は万全だと思っていたのに、想定外の感覚に、変な声が出てしまった。
父親は、時おり漏れる娘の声に、
(痛いのか?、つらいのか?)
と、心配していた。
自分が初体験の時は夢中で、妻が痛がっていた事も気づかなかった。
後で、妻が笑いながら教えてくれた事を、思い出して娘の奥を目指していた。
娘は、変な声を出さないよう、必死で声が出るのを我慢していた。
(もうすぐ、もうすぐ)
と、何かが訪れる事を期待しながら、侵入してくる父親の肉棒を受け入れる事に、意識を集中していた。
父親は先端が、娘の奥に到達すると、更に押し込むように、根元まで挿入した。
「あぁ、あぁ、」
呻いた声が、喘ぎ声に変わった。
(娘も悦んでる)
そう確信した父親は、成長した娘が女になった瞬間に感動した。
嬉しくて、父親の目からも涙が滴った。
(お父さんと繋がった)
達成感にも似た安堵から、思わず漏れた声も、練習通りに出来た。
(痛くないよ、お父さん、私も気持ち良いよ)
嬉し泣きしながら頑張る父親に感動した娘は、
「お父さん、良い、気持ち良い、もっと突いて、お父さんのでイカせて」
と、用意していたセリフが、本音になって出てきた。
息荒く
「イク、イク、」
と呟く父親に、娘は
「私もイク、お父さんと一緒にイク、お父さん、私も一緒にイク、」
最後のイク瞬間、身体に電気が走ったような感覚があった。
全てを出しきった様に、娘の横に倒れる父親は、息苦しくて言葉も出ない。
「はぁ、はぁ、」
まるでスポーツした後のような気持ち良い余韻に浸った。
結婚への不安さえ吹っ切れた初体験。
「ごめんなさい」と謝るか、「ありがとう」と言うか迷っていた娘は、無意識に
「ご苦労さま」
と言ってしまった。
ムードをブチ壊した娘の言葉に、二人とも爆笑した。
母親の遺影も、笑っているように見えた。
完
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