あの日は本当に地獄でした。
深夜に父の怒鳴る声で目が覚め、そっと居間の様子を伺うと物が壊れ怒鳴り散らしている父に、
「ごめんなさい、ごめんなさい…」
と謝り続ける母の姿。
どこのどいつだ!!
父はそう叫んでましたが、母は従兄の名前は出さず、
「わからない…お金だけの関係だから」
と嘘を言ってました。
父もそんなことで納得するはずもなく、母に手を挙げることはしなかったけど、床に散らばった物を叩き壊してました。
オレは母を守ろうと居間に入ると、父もようやく冷静になり、
「もう怒鳴ったりしないか、お前は寝ろ。まだ大事な話がある」と追い出されました。
しばらく聞き耳を立てていましたが、静かに話かけてたので自室にもどりました。
母に起こされたのは、普段より少し早い時間でした。
「ごめん、出て行くことになった」
そういって、母はくしゃくしゃの顔で何度も謝りました。
母は今までありがとうと、オレに礼を言うと、お昼には出て行くと教えてくれました。
オレは学校を休んでも母といたいというと、
「それはダメなの。もうタケルと会わない約束したから」
母にはオレの知らないことが他にも色々あると言い、それを全部許してもらったと言いました。
「タケとの約束、守れなくてごめんね。こんなんでもやっぱりタケルの親だから…SEXしたら、もうお前のお母さんじゃいられなくなるから」
母は涙ぐんで、
「けど、黙ってくれてありがとう。落ち着いたら、必ず連絡するから」
最後に母はキスをしてきて、舌を入れてきました。
初めて恋人のようなキスをして、これが母との最後の思い出になりました。
母は両親を亡くしているので、若い頃まで住んでた伯母の家にしばらく身を寄せて、それから土地勘のある神戸へ行くと言いました。
母と別れて一週間後、今度は伯母が訪ねてきて、オレと父に土下座をしてきました。
ここから、色んなことが変わってしまいました。
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