古いホテルでガレージに車を入れる。
「やはり止めて帰ろう」
母親の躊躇う言葉。
俺は無視するようにエンジンを止め車を降りる。
何台かの車が止めてある、ナンバーを隠すように板が置かれている、ガレージの壁に同じ板が有り俺も真似をして車の前に板を立て掛ける。
助手席のドアに近づくと、母親は観念したかのようにドアを開け降りて来る。
表情は緊張してるのか、固く引きつっている。
ガレージの後ろにはアルミのドア、その上に部屋を示す番号が点滅している。
ドアを開けると部屋に続く階段。
階段は隣の部屋と共通に成ってるみたいで、部屋番号の明かりは消えていた。
スチールのドアを開け中に入る。
建物も、そうだが、部屋の中も然程広くな無く古びた感じである。
狭いスペースで靴を脱ぎ入る。
突き当たりに一段高い所、そこに大きな布団が敷かれてある。
手間の狭いスペースに小さなソファーと小さなテーブル。
入り口の直ぐ横にトイレと浴室が有る。
部屋の灯りは間接照明で、光焼けしたような少し赤っぽい白熱灯のような灯り。
何の娯楽施設も無く、そこは唯、男女が欲望を満たすためだけの部屋に思えた。
母親はバックを手にしたまま突っ立ている。
「取り合えず座ろうか母さん」
俺な声に力が抜けたような感じでソファーに腰を下ろしていく。
隣に座り腿に乗せた母親の手を握る。
やがて母親は掌を合わせ指を絡めて握り返して来る。
「親子なのに、こんな場所に来ちゃったね」
俺の肩に頭を預けながら言う。
「うん」
言葉も無く生返事を返す。
「剛は後悔しないよね、こんな母さんを軽蔑しないよね」
「勿論だよ、母さんこそ後悔しないよね、これは母さんが悪いんじゃ無く俺が無理矢理に」
「うぅん、母さんこそ親子なのに悪い母親」
ソファーで母親を強く抱きしめ唇を重ねる。
そのキスは母親も一人の女に成っていた。
舌を絡め合い唾液を交換するような濃密なキス。
「母さんが欲しい」
唇を離し母親の顔を見ながら言う。
「剛…」
二人揃ってソファーから立ち上がると再び濃密なキスを交わす。
俺が母親の衣服に手を伸ばす。
「待って、シャワーだけ浴びさせて」
母親の声。
「俺も一緒に」
「恥ずかしいから母さんだけで」
俺は今から起きる事に心臓が高鳴るのを抑え母親が浴室から出て来るのを待つ。
バスタオルを体に巻き手には脱いだ衣服を持ち浴室から母親が現れる。
俺も直ぐさまに浴室に入り、シャワーを浴びる。
母親を相手に前に突き出す物をボディーソープで丹念に洗う。
タオルを腰に巻き部屋に戻ると、母親はソファーに座り俺を待っている。
ここで母親の事を少し。
母親は決して美人でも無く、体型も典型的な日本人で胴長短足、太ってるとまでは言わないが脂肪が付きポッチャリとしている。
髪は肩に掛かるぐらいで多少短め。
大学を卒業して薬剤師の資格を持ち、親父と結婚後、俺が産まれても薬剤師の仕事を続けていたが、祖母が急に亡くなり俺を一人に出来ないとの事から仕事を辞め、それからは専業主婦をしている。
母親と結ばれた後の話しで、ここ十数年、親父との交わりは無かったらしい。
ソファーに座る母親の腕を取り立ち上がらせる。
少し怯えたような表情で俺に従う。
「母さん…」
「剛…怖いよ…母さん怖い」
抱きしめたまま母親を布団の方に連れて行く。
掛け布団を捲り母親を、そっと寝かせる。
「あぁ、剛…」
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