集会場では宴会が始まった。
「おいっ!!」
後ろから、近所の良樹さん(幼馴染みの大学生)に大きな声で話しかけられて驚いた。
「大きくなったなぁ。今年から高校生だろ?勉強ガンバレよ」
すると入れ替わりでやってきた勝子おばちゃんにめざとく見つけられ、
「あらぁ、カズちゃん。品定めしてるのぉ~?」
と白々しい声で言われた。
みんなに聞こえる声で言われたので、僕は焦って顔が紅くなり何も言えなくなってしまった。
周りの女性は、勝子おばちゃんの言葉と僕の反応を見てはじけるように笑いだした。
「やぁだぁ~!勝子てばぁ」
「もぉ~~!カズちゃんみたいな若い子が私らみたいなおばさん選ぶわけないでしょ~?」
「でも、カズちゃ~ん。カズちゃんが良かったらおばさん達みんないいのよぉ?」
次々に軽口が飛び出して笑い声がどんどん大きくなる。
立ち尽くすしかなくなってしまった僕を見かねたのか煽った張本人の勝子おばちゃんが
「あんまりからかわんといてね。カズちゃんお初なんだからあがっちゃってるのよ 」
と言った。
「ごめんねぇ~」なんて笑い顔のままおばさん達が謝ってくるのを頷きながら聞いていた。
酒が進むにつれて集会場の大人たちは少しずつ減っていった。
遠い席に座っていた母ちゃんも良樹さんに進められるままにビールを飲んで頬を紅くしていた。
そして、母ちゃん、良樹さんの姿も気づけば途中で見えなくなっていた。
「こらっ、こんな日に一人で寝るんかい!」
勝子おばちゃんに話しかけられた。
「教えたったいうのに…ホンマ、カズちゃんて、あかんたれだよ」
あまり逆らわないほうがいいと思い小さな声で
「すいません」と謝る。
「まぁ、ええわ。カズちゃん捕まえたしなぁ」
「ついておいで…カズちゃん」と言われるまま、 そのまま靴に履き替えて暗い夜道を二人で歩いて勝子おばちゃんの家に戻った。
※元投稿はこちら >>