「あっはははは!」
不意に湧いた甲高い笑い声に、顔を上げればオカン大爆笑。
「なに本気にしてんの?相変わらずアンタあほね!・・・。」
涙まで流して笑い転げてた。
なにを?
「まさか本気にしたんじゃないでしょうね?ほんと昔から、からかい甲斐があるわ・・・。」
なにも言わずにオカンを見ていただけだった。
「ああ、おかしかった・・・。笑ったら疲れちゃったわ。お風呂入って寝るね。」
気まずさを隠したかったのか、それとも逃げ出したかったのか・・・。
そそくさと立ち上がり、風呂へと消えていったオカン。
背中を向けたままで、見送ることもしなかった。
あの目は・・マジだったよな・・・。
しかし、ま・・・これでよかろ・・・。
自分で自分を納得させた。
いくら興味があるからって、家族だ。
これからも、まだまだお互いに付き合いは続く。
それは、オレやオカンだけじゃなく、親父や妹やその他諸々の人たちとの人間関係も含めて続いていくんだ。
いっときの感情でそれらのすべてを破壊してまで、オカンとどうにかなりたいとは思わない。
正直言えば怖かった。
向かい合ってオカンとやれるなんて、とても思えない。
顔や体の話しじゃない。
強いて言えば、「目」の話し。
オカンの目を見つめて、入れることができんのか?
はっきり言って、無理。
めっちゃ無理!
綺麗汚いなんか関係なしに、ガキの頃を思い出しちまう。
だから、白旗を揚げた。
風呂から上がってきたオカンは、オレのスウェットにやっぱりオレのTシャツ姿。
長い髪をまとめたオカンのうなじは妙に色っぽかった。
「明日も仕事なんだから、アンタもいい加減早く寝なさいよ・・・。」
心なしか、声に元気はなかった。
その夜は、寒いのを堪えてストーブの前で寝た。
オカンが「風邪をひくからこっちで寝れば?」と言ってくれたが、オレは寝たふりをしたまま毛布にくるまって動かなかった。
一緒に寝れば、あのケツに触る。
自分から否定しておいて、速攻手のひらを返すんじゃ節操がなさ過ぎってもんだ。
オレの中で、どうにもならないくらいオカンが綺麗な女になっていた。
目を閉じれば、オカンを犯す妄想ばかり。
何度、ベッドに行きそうになったことか。
それでも、実行しなかったのは、やはりオレに勇気がなかったからだ。
翌日も、やっぱり布団から出てこなかったオカンを残してアパートを出た。
モヤモヤとしたはっきりとしない気分のまま仕事をしていると、昼休みに親父から携帯へ着信があり、オカンの様子はどうだ?と確認してきたので、「氏ね!どアホ!!」と答えておいた。
なぜかその日はひどく疲れて、重い足取りのままアパートに帰った。
外から様子を眺めると、昨日は点いていたはずの窓に灯りは点いていなかった。
予想はしていたが寂しかった。
けど、これでいい・・・なんて、心のどこかで思ってた。
オカンは強い女だ。
なんつったってオレを育てた女だからな。
きっと今頃、親父をシバキ倒してるこったろ。
そしてまた元の鞘に戻る。
きっとそうなる・・・。
安易にそんなことを考えていた。
しかし、そうはならなかった。
その日から、オカンが消えた・・・。
「ああ!なんだとぉっ?!」
オカンがうちのアパートからいなくなって二日も経った頃だった。
5つ下の妹から電話があり、話しを聞いて驚いた。
「離婚するだってっ?!」
「そうなのよ・・・。なんかあの子に赤ちゃんができちゃったらしくてさ。私も今日聞かされてびっくりよ・・・。」
妹の話じゃ、あのハゲ頭は、なんと手を付けただけじゃ飽きたらずに、こともあろうことか自分の娘の同級生に種付けまでやったらしい。
元気すぎるぞハゲ・・・。
それが露見して、今回の騒動となったらしいが、当然オカンは怒り心頭で激しい言い争いになり、結局離婚にまで話しが発展していたということだった。
親父の腹は決まっていて、すでに離婚届に判まで押しているという。
たまたま実家に戻った妹が、その事実を聞かされ慌ててオレに電話をしてきたというわけだ。
オカンは、ひと言もそんなことは言っていなかった。
「んなことオカンが承知するわけねえだろ!んで、オカンは、なんて言ってんだ?」
気まずくて、あれから実家へは電話をしていなかった。
もちろん、オカンにもかけていない。
「え?兄ちゃんのところにいるんじゃないの?」
は?
「ああ!?とっくにうちなんか出てるって!そっちに帰ったんじゃねえのか!?」
「帰ってきてないよ・・・。」
妹の不安げな声を聞いて、途端に目の前が真っ暗になった。
背中が泡立ち、ぞくりとする嫌な感覚に携帯を握る手が震えた。
オカンにしてみれば寝耳に水のとんでもねえ話しだ。
気の強い性格をしているから、ものすごい剣幕で怒鳴り散らしたに違いない。
激しい言い争いの挙げ句、親父の真意を知って顔を見るのも嫌になり、逃げ場をさがすように向かった先はオレのアパートだった。
専門学校を出てから、仕事先の寮に住み始めた妹はアテにできない。
オカンが逃げ出す場所なんて、オレのところしかなかったんだ。
ところが間抜けな俺のせいでオカンは行き場を失った。
どんな気持ちでこのアパートを出て行ったのか。
夜中にやってきた晩、ボロボロと泣いていたオカンの顔が、否応なしにオレの心を掻きむしる。
とにかくオカンを探さにゃならん。
最悪の場合は・・・。
無理にその考えを封じ込めた。
携帯を何度鳴らしたところでウンともスンとも言いやせん。
虚しいコールが響くばかり。
心当たりのありそうなところはすべて探してみたが、オカンはどこにもいなかった。
一晩中、街を駆けずり回ったりもしたが、まったくのペケ。
明け方近くになり、いよいよ警察か?と覚悟を決めたときだった。
オレの携帯にオカンからの着信が。
「今、どこにいんねん!?」
開くが早いか、怒鳴っていた。
返ってきたのは意外な答え。
「アンタのアパートだけど。いっぱい着信があったから、びっくりして急いで戻ってきたんだけど・・。なんかあったの?」
なんじゃそりゃ?
「そ、そこにいろ。いいか?動くなよ。絶対に動くなよ!」
ボルト顔負けの猛ダッシュでアパートに帰ったのは言うまでもない。
「なにがあったの?」
慌ててアパートに戻ると、汗まみれのオレの顔を見るなり、オカン、きょとんとした顔。
なにがじゃねえよ・・・。
「い、いったい・・・今まで・・どこに行ってたんだよ?・・・。」
走りすぎて貧血寸前。
タバコやめよって、マジで思った。
「うーん・・ちょっと温泉行ってた・・。考えたいことも色々あったし・・。」
温泉だとぉ?
「離婚のことか?」
「え?アンタ知ってんの?」
「妹から聞いた。」
「うーん、まあ・・・それもひとつだけど・・でも、知ってるんなら、もういいわ・・・。ワタシ、お父さんと離婚することにしたから。」
妙にサバサバした顔してたよな。
「離婚はいいけど、あんまり・・心配させんなって・・・。」
まだ息切れ状態。
「心配って、なにが?」
「ああ?」
死を選ぶかも・・なんてことは言えなかった。
「どうでもいいけど携帯くらい出やがれ・・・。」
なんで出ねえんだよ?・・・。
「あ、ああ、そのこと・・・。」
どれだけ心配したと思ってんだ?
「うん・・・ごめん・・。アンタからの電話だったからさ・・その、やっぱりね・・・ちょっと出づらくて・・帰ってこいって電話だったら、どうしようかと思っちゃったから・・・。でも、あんまりいっぱい着信があったから気になっちゃって・・・それで・・、また戻って来ちゃった・・・。」
困ったような、照れたような顔だった。
つまり未練を断ち切るつもりで携帯に出なかったわけかい・・・。
しかし、電話するよりも先に帰ってくるって・・・。
「んで、これからどうすんの?」
「え?」
「好きなだけここにいればいいじゃん。帰ってもいいと思ったから帰ってきたわけだろ?」
一本電話をかければ、それで話しは済む。
なのに、わざわざアパートまで戻ってきたのは、帰りたい気持ちがあったからだ。
そりゃ、オレを選んだってことだろ?
「ここにいて、いいの?・・・。」
小娘みてえに下から見上げてんじゃねえよ・・・。
なんか、妙にオレもサバサバしていた。
いなくなって始めてわかるって奴だよな・・・。
「好きなだけいればいいじゃねえか。その代わり、毎日綺麗に化粧しろよ。あとオレは可愛いパンツが好きだからな。」
「ア、アンタなに言ってんの!?バカじゃないの!?」
赤い顔してたけど、確かに笑ったよな。
「そりゃ、あんたの息子だものバカに決まってるさ。」
オレが笑ったら、オカンも笑ってくれた。
「取りあえず、寝るわ・・・。」
一晩中走り回ったおかげで、くたくた・・・。
「アンタ仕事は?」
「今日は土曜。お仕事は休みです。」
とにかく横になって休みたかった。
それと・・・切っ掛けが欲しかった。
「オレは寝るからな・・・。」
オカンの横を通り抜けて寝室に向かった。
腹は決まってたけど、だからといって、さあ、始めましょ、なんてできるわけがない。
オレだってまだこええよ。
でも、きっとなるようになるさ
オカンをほっぽらかして、倒れ込むようにベッドに横になった。
しばらくすると、オカンが部屋に入ってきたのが気配でわかった。
「ワタシも眠いから・・・一緒に寝ていい?」
下手ないいわけ。
思わず笑いそうになった。
顔は見なかった。
見たら子供の頃を思い出す。
うつ伏せになったまま、布団だけ捲り上げてやると、すぐに聞こえた衣擦れの音。
服を脱いだオカンが、オレの隣りに入ってくる。
丸めた背中をこちらに向けながら、腕の中に収まった。
下着は着けていた。
触り心地のいいサラサラのスリップ。
すっぱにならない辺りが、恥じらいと躊躇いといったところか。
やっぱり温かくて柔らかかった。
抱っこするように腕の中に入れていた。
すぐに起っきした節操のないチンポ。
もう、隠す必要もない。
そのまま押しつけていた。
気持ちよすぎて、いつの間にか墜ちてしまうあたりが、オレらしい・・。
どのくらい眠ったか。
はっと目覚めて、まだ腕の中にあったオカンの温かい体にひどくホッとした。
オレのもんだ・・・。
起きがけは妙に興奮する。
抱きしめて背中に口を付け、躊躇いもなくケツを撫で回してから、オカンのパンツに手を掛けた。
ひどく小さくて飾りのついたパンツだった。
寝息は聞こえていなかったから起きているのは気付いていた。
寝息どころか、じっと息を潜めて気配を消しているようでもあった。
オカンはされるがままになっているだけで、いいともダメとも言いはしなかった。
やっぱり緊張していたんだろうか?
自分の息子にマンコを使われるのは、どんな気持ちなんだろ?
自分のパンツも下ろしてしまうと、前と同じように勃起したチンポをオカンの尻の割れ目に押しつけた。
前回は遠慮がちだったが、今回は遠慮する必要なんかない。
後ろから腰をヘコヘコさせながら、しばらくオカンのケツの感触を楽しんだ。
やっぱり柔らかくて気持ちよかった。
自分で握って場所を探り、目当ての場所を見つけて、ゆっくりと腰を前に進めた。
オカンのマンコはだらしないくらい濡れていた。
はっきりとオカンの息遣いも荒くなっていく。
オレの心臓もドキドキと鳴った。
まだ部屋は冷たかったが、布団の中だけは汗ばむほどの熱気に包まれていた。
ずっと背中から抱きしめていた。
ずぶずぶとオカンの中に埋まっていたオレのチンポ。
オカンがため息に似たかすかな声を漏らす。
もっと感じてくれよ・・・。
おかしくさせたくて、力の限り突き上げていった・・・。
次の日、オカンと一緒に荷物を実家に取りに行った。
親父は、平身低頭平謝り。
「はい、終わり。」
妙にサバサバしたものだった。
オカンは、話し合いをしたがる親父を無視して、離婚届を出させると、親父の名前の横に呆気なく判を押した。
躊躇いなんか微塵も見えなかった。
慰謝料その他諸々の話しはあとにして、取りあえず荷物だけを運び出した。
段ボール箱で3つほど。
それが、オカンがこの家で暮らしてきたすべて。
ほとんどが服で、あとは下着類ばかり。
いやらしい下着がたくさん。
下着にこだわるあたりは、オレも親父の息子といったところか・・。
話し合いが終わった最後、玄関で靴を履きながら家を出ようとしてると「これからどうするんだ?」と親父がオカンに訊ねた。
「この子とずっと一緒に暮らすから。」
そういったオカンは、オレに寄り添うように腕を組んできた。
親父が気付いたかどうかは知らん。
だが、オレを見上げていたオカンは嬉しそうだった。
じっとりと見つめる目つきは、息子を見る眼差しではなかったと思う。
瞬間的に閃いて欲しくなる。
たぶんオカンもオレと一緒だった。
オレが悪戯をした晩から、意識するようになったんだ。
いったん意識したら止まらなかった。
加速的に欲しくなり、それは手の届くところにある。
望めば、簡単に手に入れることだってできる。
望んではいけない物を手に入れる喜び。
それは、何物にも代え難い愉悦がある。
実家を出てから、アパートに帰る前にラブホに寄った。
まともな感性じゃしらけるだけ。
だから、ふたりともケダモノになった。
怪獣大戦争顔負けの大乱戦。
ベッドの上で転げ回り、床の上で転げ回り、寝ながら、座りながら、立ったまま繋がりながら・・。
様々な体位をとって、お互いが欲しがっていることを無言のままに教えあった。
まともな暮らしをしていくための儀式みたいなものだったのかもしれない。
それからは、ラブホにいったことも数えるくらいしかない。
セックスは毎日のようにしている。
オカンは、ちゃんと化粧をするし、可愛いパンツも履いてくれる。
だが、やっぱりオカンはオカンのままだし、オレはオレのままだ。
「お酒ばっかり飲んでないで、ちゃんとご飯も食べなさいよ。」
相変わらず、口を開けば小言ばかり。
「ほんとうるさいわ。居候なんだから少しは遠慮すれば?オレのやりたいようにやらせろババア。」
素直になれないオレも相変わらずで、長年続く反抗期はいまだ継続中。
いつになったら終わるんだ?
「ババアだって!?そのババアに相手してもらってんのは誰だい?だいたい、したいようにさせてやってるでしょ?アンタがあんな変態だったなんてお母ちゃん悲しいよ。」
そうきたか・・・。
顔を跨がせて、下から眺めながら玩具で虐めるのが、ちょっとしたオレのマイブーム。
死語だね。
「悲しいって・・喜んでんだろが!?すぐに嬉しそうな顔しながら跨ぐくせに・・・。」
「だって気持ちいいんだもん・・・。それにアンタが夢中になって見てるから、可愛くって・・・。」
まあ、食事中の会話ではないわな・・。
風呂にも一緒に入るし、たまにはオカンがメチャクチャ可愛く思えて、じっくり可愛がったりもする。
アパートに帰れば灯りが点いていて、暖かい部屋には化粧して綺麗になったオカンがメシを作って待っていてくれる。
それは、何とも言えない幸福感。
しばらくは、この幸福感を手放すつもりはない。
「いつまで一緒にいられるんだろうね・・・。」
ベッドの中で、たまにオカンが寂しそうに口にする。
「好きなだけいればいいじゃねえか。」
偽りのない本心。
「好きな子ができたら言いなよ。すぐに消えてあげるから・・。」
猫かよ・・。
死ぬとき猫は姿を隠すっていうからな。
オカンが死んだら、体の半分持ってかれるな・・。
「好きな子?いるわ。」
「え?誰かいるの?」
焦った顔が笑えるんですけど。
「今ここにおる。」
オカンが笑ってくれる。
オカンはオカンだけど、オカンじゃない。
オレの女だ。
自分の女くらいは幸せにする。
アホなオレだけど、それくらいはわかってるつもりさ・・・。
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