私の母は箱入り娘だったらしく、父とも親戚関係の紹介で見合い結婚だったようだ。細面でつやのある黒髪が美しく、大和撫子とは母のような人を言うのだろう。滅多に外出しない母の肌は抜けるように白く、いつも見る手には青い血管が透けて見えた。いつも長袖、ロングスカートを穿いているし、体の線の出ないゆったりした服を着ているせいで性的なものを感じさせることは滅多にない。それでも時々、髪を結い上げたときに見れる白いうなじは、子供ながらにドキドキした。
性教育を受けたとき、自分の母が父と繋がっているところは想像できなかった。でも自分がいることが何よりの証拠であり、悶々としたまま深夜、寝付けずにトイレに行こうと1階に下りた。私の両親の寝室は一階の和室でした。あてがあったわけではないが、部屋の襖の前に座って耳を澄ましていた。しばらくすると、部屋の中がほんの少し明るくなったように感じられた。後で分かったが、手元の行灯をつけた明かりだった。かすかに衣づれの音も聴こえてきた。恐る恐る襖の隙間からのぞくと部屋の壁にゆっくり動く影が見えた。しばらく見ていると、明らかに母の上半身と揺れている長髪の影だと分かった。私のあそこはビンビンに立って、頭が真っ白になった。ただ私の角度からは影以外は見えない。それがますます私の想像力をふくらませた。部屋からは不思議に何の音も聴こえず、自分の心臓の異常な高鳴りだけが耳の奥で鳴り響いていた。部屋の壁に写る母の美しく長い黒髪の揺れる陰、それだけで私は初めての精通を経験した。