去年の夏。むし暑い夜だった。
夜中、物音と叫び声で目が覚めた。父と母の寝室からだった。
寝室には4~5人の人の気配がした。
僕は息をこらして隙間から中を覗いた。
男が二人、家に侵入していた。
中年の男たちだ。
父も母もパジャマの上からロープをかけられ、後ろ手に縛られていた。
二人とも口はガムテープでふさがれ、部屋の隅に追いやられていた。
父は顔をひどく殴られているようだった。
母の肩は震えていた。 震えながら、ガムテープ越しに懸命に何かを伝えようとしていた。
くぐもったうめき声しか出ないが、目は必死で男たちをとらえ、そして訴えていた。
『殺さないで。お金なら何とかしますから』。
母は気丈な女性だ。そつがなく、何でもてきぱきとこなすタイプだ。
しかし、この時ばかりは、不意に男たちに侵入され、いきなり体の自由を奪われ、言葉も封じられてしまっていた。
それでも、必死でなんとかこの場面に立ち向かおうとした。
男たちは無視した。
一人が母をベッドに運び上げ、ロープをほどいた。刃渡りの長い包丁を手に持っていた。
初めて男が口を開いた。
「抵抗したら殺す」
低い、ドスのきいた声だった。それ以上は何も言わなかった。
顔に包丁をつきつけられた母からは急速に力が抜けた。
男たちがこれから何をするのか、僕にはだいたい察しがついた。
母は39歳、まだ体の線は崩れていない。背も高い。女優のKTに似ている。
男たちの性欲をそそるのはわかる。
しかし、なぜ僕の家に・・・。
僕は体が凍りついた。
「奥さん、今から本物のセックスを教えてやる。旦那もよく見てろ。」
ある程度覚悟はしていただろうが、これほどはっきりと言葉で言われ、母の顔が一瞬さっと曇り、くぐもった嗚咽がもれた。
男は、ベッドに坐らされた母を後ろから包み込むように抱きかかえた。
母のパジャマの前があらっぽくはだけられ、白い乳房がこぼれた。
男は乳を丹念に指で揉みながら、首筋に唇をはわした。
「奥さん、いい匂いするねえ」。
しばらくして、母の両脚を左右に拡げ、指をパンティーの奥にすべりこませた。
ダブルベッドの上の行為はよく見えた。
父からも見えたはずである。
男の手の動きはゆっくりと無駄がなかった。
決して焦ることはなく、それでいて粘っこく、時間をかけて快感を引き出しているようだった。
男が、母の口からガムテープをはずした。
母は、
「やめてください」
を繰り返した。
しかし、息は既に荒く、顔は上気していた。
男は無言で、乳首と陰部への愛撫を繰り返した。
母の乳首はつんとたっていた。
男は、ついにパンティーを脱がせた。真っ黒い陰毛に囲まれた母の陰部は、既に赤く濡れ光っていた。
男はさらに、母を仰向けにした。
男は丹念に舐めた。手で母の陰部をいっぱいに拡げながら、舌を使った。
長い時間に思えた。
部屋には男の舌使いの音と、ぴちゃぴちゃという淫靡な音が響いた。
僕は全身を耳にして聞いた。
そして、母の表情を窺った。
「いや、やめてください」必死で耐える母の声は弱々しかった。
男が指で母の秘部をすくった。透明の液が指から糸を引くように長くのびた。
男はそのねばっこい液を人差し指と中指ですくい取り、ベッドをおりて、そのまま父の目の前に持って行った。
「奥さん、かなりたまってるみたいだな」。
男は、目を伏せた父の鼻先にそれを塗りこめ、舌を出させて舐めさせた。
「どうだ、女房の愛液の味は。うまいだろう。主人の前でもこんなに濡れるんだとよ。」
父は、抵抗できず、必死の抗議の形相を見せるだけだった。
ベッドに戻った男は全裸になった。
鍛えられた体をしていた。
贅肉が全くない。禁欲的な感じさえする。
男根はそそり立っていた。
父は見ていた。
母には抵抗することは許されていない。
男がベッドに仁王立ちになり、母は舐めさせられた。
黒光りする男根にからまる母の白い指。
懸命に顔を上下させる母の揺れる髪の毛には女の色気というより妖気さえ感じられた。
母の唇から時々はみ出る亀頭は時間がたつほどに力をみなぎらせ、その粘膜は美しくもあった。
男は、やがて正常位で挿入した。
挿入の瞬間、母の口から「ああ」という言葉が漏れた。
それは、侵入した見知らぬ男に無理やり犯される女の言葉ではなかった。
明らかに、待ち望んでいた物を与えられたメスの発する本能の声だった。
いままで声を出すまいと必死に我慢していた母も押し寄せる快感の波には勝てなかった。
男は緩急をつけたストロークを打ち込み、女の性の本能を引き出した。
やがて、母は膝をつき、腰を高く上げさせられた。
真白い大きな尻は左右に動き、中心部からは愛液が太股からふくらはぎまで垂れた。
それ自体が一つの生き物のように動き、奥深くに熱くたぎるものをほしがって蠕動を繰り返した。
部屋には何ともいえない性臭が漂った。
男がバックから一気に挿入すると、母の口からかん高い叫び声がもれた。
それ以降は堰を切ったように声が漏れ続けた。
男は母を征服したのだ。
父をも支配した。
男は永遠に終わらないのではないかと思うほど長い時間、母のお尻に太く長いものを打ち込んだ。
やがて、母の口からは、絶頂を告げる言葉が何度となく発せられ、男は母の体内に射精した。
母の淫液が伝う太股にかぶさるように男の体液がどっとあふれてきた。
そしてすぐ、もう一人の男が交代した。
僕は、足はがくがく震え、のどはからからだった。
自分の部屋に戻り、中から鍵をかけた。
ふとんを頭からかぶり、あまりの強烈さに警察に通報することも忘れ、手は自然に下腹部にのびた。
朝までに10回ほどオナニーした。
男たちが帰ったのは午前5時を少し回っていた。
僕は夕方くらいまでとても部屋から出る気分ではなかった。