僕が小学校二年?三年?そのくらいの時だったと思います。
その日は給食食べたら、午後の授業は無しって日だったんです。
先生の集まりだか研修だかで。
両親はそのこと忘れていたんでしょう。
父も母も仕事でいない、そう思ってましたが、母が通勤で使う車はあるし、父の会社の名前が入った車もある、おかしいなと思いながら、家に入りました。
鍵もかかってません。
おかしい、そう思ったからつい、そっと家に入って行きました。
両親の部屋から、何やら声がする、僕は両親の部屋の入口に耳を当てました。
父の声がしました。
『なあ、いいだろ?』
母の声がしました。
『や~よ~、こんな昼間っから何言ってんの?仕事に戻んなさいよ~』
どうやら母は仕事休み、父はサボって帰宅してたみたいです。
『利樹いね~んだから、いいじゃないか。あいついるとゆっくり出来やしね~し』
僕のことなんか言ってる、ゆっくり出来ないって何?
そんなようなやりとりがあって、最終的には母が折れたようでした。
『わかったわよ?じゃあ早くして仕事に戻ってね』
父がへへへと笑う声がしました。
しばらくして、ちょっと母が怒ったような声が聞こえました。
『そんな強く噛んだら痛いじゃない、もう』
噛む?痛い、お母さんお父さんに噛まれた?
喧嘩?
小さい母の声がしました。
『ああん、お父さん』
『へへ、ほら良くなってきたんだろ』
父の自慢気な言葉も聞こえました。
何してんの?
でも入って行ってはいけない、僕がいないからこそ出来ることをしてるんだ、それはわかってました。
途中、いろんな両親のやりとり聞いてましたが中略。
『お父さん、いい。強くぶつけて』
ぶつける?お父さん何か投げてるの?
『おら、奥にぶつかってるだろ』
奥?
『あぁお父さん、奥いい』
『おりゃっ、おりゃっ』
父が何か力を込めてるみたいな声。
『お父さん、いく』
『おりゃっ、いけいけ』
どこにいくの?
中略。
『お父さん、今日はダメよ?』
『ダメか?』
『ダメ!危ないから』
『そうか、わかった』
次の瞬間です。
『やだ!もう!何すんのさ!あ~あ!』
母の厳しい声が響きました。
『ダメっつったじゃん!どうすんのさこれ!』
???
『いや~、我慢出来なかった』
父の情けない言葉が聞こえました。
『ティッシュ!』
母の怒りの声。
『早く仕事行け!バカ!』
あ、父が出てくると思った僕は、そろりと家から出ました。