夜中にふと目が覚めた。
襖と天井の間の隙間から豆電球の明かりが見える。
いつもは真っ暗なのに。
襖一枚隣の部屋から何か聞こえる。
テレビだ。でも何故か音声だけで画面は点いていない。
ん?テレビに混じって違う何かが聞こえる。
「んん。」母の呟き?空耳?
暫くしてまた「んん。」空耳じゃない。なんだ?
「はぁ~」今度はため息?
好奇心から暫く聞いてみる。
「そろそろ入れるぞ」
「うん。入れて。」
何か袋を破くような音がする。
「うっ」母が呻いた。
「はぁ~」さっきよりちょっと大きなため息。
「はぁ~。はぁ~」ため息が息遣いに変わった。
「はぁ~、はぁ~、はぁ~」息遣いが激しくなって
いく。
「あっ、そこ。はぁ~ん、気持ちええ」
暫くの間何も聞こえなくなった。と次の瞬間
「はっ、はっ、はっ、はっ」と激しく酸素を
求めるような母の激しい息遣い。
そんな激しい息遣いに混じり
「ええ、ええわ。」と母の声。
「ええわ・・ええわ・・ええわ」の連呼。
「お父さん・・出せる?出そう?出す?」
「そろそろ出る。出すぞ。出すぞ。」
「うん、あかん、いく・・あかんお父さん・・
あかん、あかんいく、いく、いく、いくよ。ええ」
その後、暫く激しい息遣い。そして沈黙。