4月の終わり頃の事だった。
部活が早く終わって夕方に帰宅した俺は、偶然に台所のゴミ箱(蓋のついたやつ)の中に使用済みコンドームを見つけた。
ザーメンが入っていて、しかも2個もある。
我が家は俺と母ちゃんの二人暮らしだ。
昼間っから母ちゃんが男を連れ込んでる?
留守なのを良いことに、他に証拠がないか母ちゃんの部屋を物色することを思いついた。
タンスの引き出しを次々と開けてみても、特にエロいものは出てこなかった。
みんな普通の下着だ。
しかし、一番下の段を開けたら、やっと出てきた。
半分ぐらい使ったコンドームの箱と、透明なプラスチックのシートでパッケージされたエロ下着。
封が切ってなかったので広げる度胸はなかったが、レースの具合といい色といい、絶対にエロ下着だ。
おまけにリボンがかけられ[happy birthday to Machiko]と書かれたカードも付いている。
誕生日は10日ほど前だった。
俺はハンカチをプレゼントしたが、母ちゃんはめちゃめちゃ喜んでくれた。
このエロ下着にも喜んだのだろうか?
「今日からこの人が新しいお父さんよ」
なんてことになるのか?
あまり良い気はしなかった。
あと、ジッパー付きの厚手のビニール袋にローションのボトルとバイブが入ったやつも出てきた。
俺は、ちょっと興奮してきて、ブラジャーやパンティーをベッドの上に並べて、母ちゃんがハゲたおやじとやっているところを想像しながら、一発出した。
それから特に何も起こらず2週間が経った。
その日も土曜日で、となり町の高校と練習試合があった。
「練習が終わったら皆でカラオケに行くから晩飯はいらないよ」
と言っておいた。
予定は本当だった。
ところが試合中に2人も負傷者がでて、終わってから病院に行ったりなんかして、カラオケは中止になってしまった。
家に帰り着いたのは昼の3時半頃だった。
玄関の前に見慣れた原チャが止まっている。
俺の親友、テッチンのズーマーだ。
テッチンは小学校中学校と、ずっと親友だ
彼は進学校に進んだので高校は別になったが、今でも部活のない日は月に2、3回は互いの家に行ったり、つるんで出かけたりしている。
スクーターを眺めていたら、なんだか胸騒ぎがした。
試しにマフラーを触ってみると、温かいどころかヒンヤリしている。
玄関の取っ手を引いたら鍵がかかっていた。
ピンポンしてしばらく待ったが反応がない。
ピポ、ピポ、ピポンと連打しても出ない。
「タダイマア」
大声で叫んで、ドアの下をガンガン蹴ってやった。
するとドアが開き、母ちゃんが玄関のサンダルを踏んづけて裸足で立っていた。
髪は縛ってあるが乱れていて、額や首筋には汗で幾筋も髪の毛が張り付ている。
首周りが大きく開いたサマーニットから胸の谷間が覗いていて、ブラの肩ひもはない。
ノーブラだ。
さっきまで何をしていたのかバレバレじゃないか。
「ごめんね、テレビを見ながらうたた寝してたの。 カラオケには行かなかったの?」
それには答えなかった。
「テッチン来てるんだろ」
「ちょっと前に来たから、あなたの部屋に通しておいたけど」
おれは階段を駆け上がって自分の部屋のドアを開けた。
テッチンが俺のベッドに寝転んでマンガを読んでいた。
いや、読んでるふりをしていた。
なんだか裏切られた感が強くて、怒りよりもショックのほうが大きかった。
俺は、