何やら話しながら男を家に招きいれた母の声は、私の時とは違い随分と華や
かで若返っているようでした。
そう広くない家のリビングで話す二人の声は、ちゃんと聞こえてきます。
「本当に居ないの?」
男の声は母よりも若いようです。
「えぇ、友達の所に泊まりに行くって」
「彼女の所じゃないの?美紀さんさん似ならイケ面で女の子に持てるだろう
から」
残念ながら私は親父に似ていますが、それでも彼女は居ますよ。
「考えてもみなかったわ」
「可愛い一人息子さんに彼女が居たら妬けますか?」
「ば~か。そんなんじゃないけど・・・・・」
愛する息子に彼女が居るのは母親はショックなものなのでしょうか?
「息子さんが離れていったら、僕が変わりになってあげますよ」
「何言ってるのよ。子供って特別な存在なの。誰も変わりになれないわ」
愛する母の気持ちは嬉しいのですが、浮気相手かもしれない男に言っている
のが複雑な心境でした。
「そんなもんかな。そうですよね。僕のお袋も、そう思ってくれてるのか
な」
「決まってるじゃない。子供って自分より大切なものよ」
そう思っているなら浮気なてしないでよ。だけど興味があるのでした。