母の相手は、美術教師の石塚である。母は、半年前から美術教師と性的な関係
を持つようになっていた。二人は、大胆にも父の居ない白昼の自宅で行為に及
んでいた。以下に、当時中学生だった私が目撃した光景を記す。
「突然家に来るなんて~酷いわよ~ここには息子も居るのよ」と、奥の部屋か
ら母の声がした。「だめよ~子供に見られる~やめてよ~いやっ~ああっ」
私は、驚きと期待の入り交じった気分で、奥の部屋を覗いた。そこには母と美
術教師の石塚が立ったままで抱き合っていた。
部屋の中では、抱擁の後の粘っとりとした接吻が続いている。母の後ろ姿は、
窮屈なタイトスカートに包まれた尻肉が漲っていた。その尻肉を美術教師に揉
み込まれると、母は堪らずに腰をくねらせた。揃えた指で尻の割れ目を撫でら
れると、母は腰を前方に突き出してして、切なそうに吐息を漏らした。
スカート越しに尻の割れ目を刺激された母の顔からは、日常に見せている知性
的な表情が消えていた。母は、だらしなく弛緩した口元や閉じられかけた瞼に
「淫の印」をさらけ出している。性的興奮で紅潮した母の顔は、激しい欲情を
隠す事が出来ない。母は、肉欲に翻弄される絶淫の相を露わにしていたのであ
る。
当時は41才になっていた母の女体が畳に横たわると、美術教師は、ブラウスの
上から母の乳房を揉み始める。母の胸は上下動が激しくなって、肉付きの良い
腰の辺りがうねり始めた。
「はあ~っ」と、母が湿り気を帯びた溜息を吐く。母の顔には、女が快楽の細
波を捉え始めた時に見せる、羞恥と歓喜が入り交じった淫靡な笑みが浮かんで
いる。次第に遠のいてゆく理性の代わりに母を支配したのは、今や隠す事が出
来ない肉体の快感だった。母の顔は、既によがり始めている。その表情の「い
やらしさ」こそが、母が味わう快楽の深さなのである。
歓喜と狂乱への入り口にさしかかった女が味わう興奮。それは、かくも淫らで
恍惚とした表情を見せるものなのだろうか・? その時の母が見せた表情の甘美
さは、対象が母なのだという事も忘れて、私を興奮させた。今にして思えば、
その時に私が見た母の顔は、既に母という存在を越えていたのかも知れない。
それは、残酷な肉欲に「理性」も「羞恥心」も破壊された淫女の顔であり、剥
き出しになった「女の業」だったように思う。歓喜する母の顔は、快楽が深ま
るにつれて刻々と変化する。しかし・私には、快楽の入り口で悶える母の表情
が忘れられない。以後に私が関係した女の誰よりも、その時の母の顔は素晴ら
しかったと思えるのである。