浴室の一件が僕の性の転機だと思っていましたが、もっとすごい転機が
待っていました。
数日後、従兄の信くんから僕の携帯に電話がありました。
「オレだけど、話があるんだ。来週、試験休みだろ?」
「うん、そうだけど。」
「じゃぁ、おれのマンションに遊びに来ないか? 水曜日でいい? あ、
もしオレの方が遅かったら、鍵をガスメーターのボックスの裏に置いて
おくから、先に入ってテレビでも見て待っててよ。冷蔵庫の飲み物も自由に
飲んでいいから。」
「うん、いいよ。でも、話って何?」
「ああ、それは会ったときにゆっくり話すよ。」
約束した日に、僕は従兄のワンルームに行きました。チャイムを鳴らしまし
たが留守のようでした。言われたように合い鍵を取り、ドアを開けて部屋に
入りました。カーテンの奥、部屋の中で何か、人のいる気配がしました。
「信くん、いるの?」 僕は、そう言いながらカーテンを開けて、奥に入り
ました。
信くんは、女の人とベッドにいました。信くんに覆いかぶさるようにうつ
ぶせになっていた女の人が振り向いて、僕の方を見ました。母さんでした。
「え、な、何で? 和ちゃんが、ここに?」 信じられないという驚きの表
情がありありでした。
「やあ、新聞の勧誘かと思って、チャイムを放っておいたんだ。和ちゃん、
早かったね。」 従兄は、母さんを乗せたまま、落ち着いた様子で、笑いな
がら僕に言いました。
「いやぁ、何てことを。」 母さんは、僕から顔を隠すように、従兄の胸に
顔を押しつけました。
従兄は、二人にかかっていた毛布をバッとはぎ取り、ベッドの下に投げ捨
てました。二人とも全裸で、抱き合っていました。
「いやぁぁ。」 母さんの悲鳴に近い声が部屋の中に響きました。