私は小学校の頃、父が出張でいない時は、両親のベッドで時々母と寝ていました。私が小6になったとき、父が単身赴任することになりました。兄が中3で受験があったためです。父がいなくなって母と寝ることが増えました。ある夜のことです。誰かが扉を開け入ってきたのです。私は泥棒だと思いましたが、怖くて動けませんでした。布団が捲られ、足元が明るくなりました。何をしているのかわかりませんでしたが、懐中電灯を持って母の下半身のあたりにうずくまっているようでした。母は寝息を立てて寝ていました。私は目を閉じ、じっとしていました。しばらくして、「ピチャッ、ピチャッ」というへんな音がしました。私はますます怖くなって、ドキドキしていると、母が「ウウーン」といったのです。母が気づいたと思いましたが、泥棒がいると知ったら、どうなるんだろうとビクビクしました。母は、直ぐには起きず、何度か「ウウーン」、「ウウーン」と言っていました。そして、「えっ、誰」とビックリしたような声を出し、ついに気づいたと思いました。でも母は、驚いて起きあがる様子はありませんでした。「ピチャッ、ピチャッ」という変な音は続いていました。しばらくすると、押し殺したような声で母が「あっ、あっ、」と言い始めました。私は母が苦しんでいると思いました。母が少し大きな声で「イイー」と言って動かなくなりました。泥棒が部屋を出ていきました。私は安心して眠ってしまい、目覚めたときは夢だったのかと思いました。ところが、数日後またも入ってきた泥棒が兄だと言うことを知ったのです。