夏休みの出来事があってから、私は母と住み込み店員のSさんを日常的に観察
する様になっていた。
そして・Sさんが母を変な目で見ている事にも、時には母を見ながら股間を膨
らませている事にも気が付いていた。
母が台所に向かう時なども、住み込み店員で夜間大学生のSさんは母の後ろ姿
を目で追っている。
母の腰の部分をねっとりとした視線で見ていたりする。けれど、まだ幼稚園児
の私には、その事の本当の意味は理解して居なかった。
当時の母は40歳。 外見は美人の部類である。 体は大柄だけど着やせするタ
イプで清楚な雰囲気があった。
母の腰から下の部分は若い娘のような「プリプリとした弾むような感じ」はな
かったが、しっとりとした量感があって、40歳とは思えな
い程の張りがあった。胸は豊かに膨らんでいて、尖った形も崩れていないの
だ。ウエスト部分もそれなりの締まりがある。
母の下腹は僅かに膨らんでいたが、同年配の女性から比べたら遙かに体型は良
いのである・・顔の皺もほとんど目立たない。
私の父は写真と釣りが趣味で、泊まりがけで旅行する事が多かった。そし
て、父が居ない日に限って住み込み店員のSは
出かけずに、昼間から家に居た。そして・・父が出かけた時から、家の雰囲気
が変わってしまうのだった。
父が居ない我が家は、母も住み込みのSもなぜか無口になって、微妙に重苦し
い空気が家中に漂ってくるのが常だった。
夏休みの一件以来、この傾向は特に強くなったように、私には思えた・・そし
て・・あの日もそんな雰囲気で始まった・・
「**ちゃん・・母さんの肩を叩いてくれる」 私は母に肩たたきをさせられ
た。 居間には、母と私・小さな低いテーブルを挟んで
反対側には住み込み店員のSさんが居た。 父が出かけた日曜日の午前中
で、外は心地よい秋の陽が輝いている。半分開けた
窓からは10月の微風が部屋に吹き込んで、レースのカーテンが揺れている。
「奥さん、今日は私が肩を叩いてあげましょうか」正面のソファーに座ってい
たSさんが言った・・
「でも、仕事や勉強で疲れているのに悪いわ」と母が遠慮すると「大丈夫です
よ、若いから疲れてません」と言いながら、
Sさんは母の側に来て・・母の肩を叩き始めた。母は少し恥ずかしそうな顔に
なって・・「じゃあ、お願いね」とSの申し出を
受け入れた。 私は「しめた・・助かったと」思った。 天気が良いので外に
出て遊びたかったのだ。
私は居間を出て、遊び支度をしてからトイレで小用を済ませ、再び居間に戻ろ
うとした、しかし、居間の手前の廊下で、
私は立ち止まってしまった。 居間の雰囲気がなぜか変なのだ・・あれほど話
が弾んでいたのに、会話がない。
母は肩を揉まれていたけど、その横顔がいつもと違う・・いつもは閉じている
母の口元は開きかげんで、目は虚ろな感じになっている。
胸騒ぎがした私は、居間には入らずに・・居間の中が見える庭の植え込みに身
を潜めた。
庭の植え込みは幼稚園児が隠れるには絶好な感じで茂っていた。 居間からの
距離も近くて会話も聞こえる。大谷石の塀に
囲まれているから外からは見えない。
マッサージを始めてから5分も経つのに、Sはまだ母の肩を揉んでいた。 母
は、少しだけ紅潮した顔で、気持ちよさそうに揉まれている。
口元は緩んできて、目は宙をぼんやりと見ている。首筋から肩にかけては肌が
ピンク色に染まっていて、白いブラウスとのコントラスト
が美しい・・・私は・・この時ほど母の横顔が美しいと感じた事はなかっ
た・・肩までかかる髪は慎ましい色に染められて、、その髪は
肩を揉むSさんの手を半分隠していた。
「強さはこのくらいでいいですか」・・Sが母に訊いた・・母は「はい・その
位でお願いします」と答えたが、その声はいつもと違って、
少しだけ上擦っていた。
母は、白いブラウスの下にベージュ色でセミタイトのスカートを穿いてい
た。母の両手は膝の上に置かれている。そ手の先には膝頭が
見えるけど、膝は少し開いていた。母はリラックスしてるのだろうと私は思っ
た。Sさんの手は相変わらず母の肩を揉んでいたが、
だんだん揉み方が柔らかくなってくる。それとともに、母の顔は紅潮して、母
の白いブラウスに包まれた胸は息づかいで上下し始めた。
母の顔はさらに赤く染まって、瞼は少しだけ閉じ加減になった。それと共に口
元が半開きになった。
男の手・・肩から首筋を揉んでいた手は、いつの間にか撫でるような感じに
なっている。下半身の方を見ると、開き加減だった母の膝は
きつく閉じられている。 そして、膝の内側を互いに擦りつけるような動作
を、母は始めた。 膝の上の両手はきつく握られた。
窓越しからでも、母の息づかいが荒くなっているのがわかる。 今や、母の胸
は激しく上下しているのだ。母の膝は内股を擦るように
上下して、少しも静止しない。肩のマッサージで下半身を動かしているのが不
思議な気がした。時折太股をキュッと締めたり、内股を
擦り合わせる動作は・・その後マッサージが終わるまでつづくのだった。母は
清楚なブラウスに包まれた大きく上下させて、間断なく
溜息をついた。 私は、母の顔を凝視した・・そして・・母の顔は、海水浴の
時の夜・・あの宿で見せた表情に似てると思った。
あの時・・母が狂ったようになる前の、少しだけ声を漏らしながら股間をい
じっていた時の顔に似てる・・・・・・
やがて母は「ありがとう・・もうこのくらいでいいです」「私は疲れているか
もしれない、だいぶ楽になったけど、すこし
昼寝をします」と言って立ち上がった・・その声は微かに震えていた。