僕の母親は使用人の男と浮気をしているみたいです。
家業は何代かに渡って続いて来てますが、父親は家業に見切りをつけて大学を卒業と同時に、ある企業に就職して技術屋として働いてます。
仕事の関係で長期の出張も多く、僕は小さい頃から留守が当たり前のように思ってました。
家業の方は祖父と母親と使用人の三人で昔と違い今は細々とやってます。家はかなりの旧家で、その当時は大々的に商売をしていたらしく、母屋から廊下続きで幾つもの倉庫があり、使用人は倉庫の端に有る部屋に住み込みで働いてくれてます。
以前の事に成りますが昔造りの家で部屋の周りは廊下があり、小さい頃は、その廊下が長く感じ夜に一人で歩くのは怖いくらいに感じてました。
有る日の夜中に、偶然に目撃をしたのです。母親が寝間着姿で廊下を足音を忍ばせるように歩いて行くのです、僕は、もう一方の廊下から、そんな母親を見つけ…何処に行くのだろう!と思いながら目で後を追いました。
母親は廊下を曲がり倉庫の方に、僕も母親が曲がった廊下の角に移動して更に目で後を追う。
倉庫も渡り更に奥に歩く母親、倉庫の壁の陰に隠れ様子を伺うと、使用人の部屋の前に立ち暫く立ち止まって、やがて意を決したかのように入り口の戸を開け中に消えて行きました。
僕は、この先は近付いたら往けないと反射的に母屋に戻り、きっと今頃は母親と使用人が…と妄想にかられ、悶々とした夜を過ごしました。
眠れぬ夜を過ごした僕が台所に行くと。