あまり童貞喪失の詳しい話は出てきませんが、こないだの連休でふと思い出した話です。
僕の初体験は、大学時代にスポーツ施設でバイトした際に先に働いていた、3歳上の先輩。正直言って美人。明るくて笑顔も素敵。誰からも愛されそうで人気もありそうな女の子でした。一方の僕は、お洒落なんて程遠い女っ気のない男子です。
バイトで入ったばかりの僕に付いたのが彼女で仕事を教えてくれました。でも当時彼女がいるどころか、女の子の手を握ったこともない女性免疫ゼロ、恋人いない歴=年齢の僕には彼女のような美人さんはハードルが高すぎて、話しかけられてもずっと緊張で顔がこわばってました。
一方彼女の方は、あとで聞いたら僕がタイプのど真ん中だったようなのですが、その当時は僕の女性免疫の無さに結構驚いていました。
「彼女いるの?まぁ、その調子だと居ないかな。。。いないよね。」
「〇〇くん、いいとこいっぱいあるし、普通にしてたらモテるのに、もったいないよ。わたしで良かったら、何でも話してくれていいし、気軽に相談して。わたしもいっぱい声掛けるから。その時はよろしくね」
その後仕事の中とか、仕事が終わって彼女に誘われたりとか、積極的に彼女が関わってくれて、僅かですが話もできるようになってきました。すると程なく、彼女の方から僕の好きな所、惹かれた理由などを話して告白してくれました。
「真面目で一途な〇〇くんが好き。〇〇くんだったら私も一緒に幸せになれると思う。仕事の仲間でもあるけど、彼にもなってくれる?」とか、この上なく表面的に取って付けた理由だなと思って、なんか逆に申し訳なくて。
告白されても世間一般のカップルという感じには程遠く。年上の彼女がデートから何からリードしてくれる中で、僕が彼女に提案して引っ張れる場面を少しずつ作ってくれました。
告白を受けてから半年近く経ったある日、彼女は言いました。
「ねぇ、カップルは付き合って3カ月ぐらいでセックスするのが普通なんだって。私たちセックスはまだだよね。〇〇くんはどう思う?」
僕を見つめながら、いつもは何でもリードしてくれる彼女が僕に決断を促したのです。
「僕も、本当はxxさんとセックスしたいです。でもやり方が・・できる気がしなくて。いつも僕がだらしなくて申し訳ないのに、さらに迷惑かけちゃいますよ。」
もちろんただの言い訳で、本当は単に失敗して彼女に嫌われたくなかったのです。
「迷惑だなんて。わたし〇〇くんといる時間はいつも幸せだよ。嫌だと思ったことなんて一度もない。ありがとう。わたしがリードするから安心して。」
「・・・でね、〇〇くんのことだから、どうせ失敗したらどうしようって思ってるんでしょ(苦笑)。むしろ上手だったら『いつの間に他の女覚えたんだ。浮気してるな』って嫉妬するよw。失敗していいの。そんなことで嫌いになんてならない。」
初体験も彼女のリードで済ませました。キスすらしてなく、ファーストキスもその時。
成功か失敗かでいえば、失敗でしょう。アソコに入ってたのは何秒だろうか(苦笑)。
でも彼女は初めて結ばれたことを喜んでくれて、その後も最初は彼女が誘いつつ、セックスに慣れるにしたがって段々僕からも誘えるようになりました。
体の関係を重ねるうち、いつしか女性免疫もついてきて。彼女とは明るく打ち解けて、彼女の心からの素敵な笑顔を僕が見ることができるようになりました。
大学卒業後も関係が続き、仕事に慣れた所で僕からプロポーズしました。今の妻です。
その時に、「なんでロクに話もできなかった僕なんかに告白を?」と聞いたんです。意外なことに、僕が表面的だと思った理由を、ほぼそのまま言っていました。
「〇〇くんは真面目で一途。今もそれは変わらない一番いい所。そしてきちんと話したらユーモアもあって飽きない人だなって。あの時は無理だったね(笑)。そんな人と一生寄り添いたかったし、そもそもタイプで一目惚れだった。最初は正直辛かったけど、きっとこの人は運命の人だから頑張ろうって。頑張って良かった。だって今すごく幸せ。思った通り運命の人だったんだね。」。
その話を聞いて、それまでの日々とか彼女の献身的な姿がよみがえってきて泣いちゃいました。
「え、ちょっと。褒め過ぎた?泣くとこじゃないよ??最高のプロポーズが台無し!運命の人選びなおそうかなぁw」そう弄ってきた彼女の笑顔は眩しかったです。
ちなみにセックスは、少し突き放したほうが僕の勇気が出るかと思って、敢えて決断を促しただけで、別にその時は返事はどっちでも良かったそうです。断られたら断られたで、どう前に進めていくか考えていたって。僕になんて勿体ない、実にできた妻なのです。
で、何故思い出したかの話。プロポーズして結婚してから約20年後。こないだの連休。
居間でのんびりしてると、18歳になる息子が何やら話しかけてくるのです。
18歳は、奇しくもバイトで僕が妻に会ったのと同じ年齢です。
「ん、お兄ちゃんどうしたの?」
「実はね、好きな人ができて・・・」
「お、お前も男だなぁ!で、いい感じなの?まさかもうあんなことしちゃったとか??今度家に連れてこいよ。お父さんは喜んで交際を許可するぞ、わはは。」
「やめてよ、僕が好きだなんて言えるわけないじゃん」そういう息子の顔はこわばって真っ赤です。そうですか・・・一体どこの誰に似たのでしょう。そっくりじゃねーか(笑)
「どうやってお父さんはお母さんと結婚したの?ずっと仲いいし、羨ましいなぁ」
「お母さん、ちょっといい?」
隠しておくことでもないので、二人で僕らのなれそめから正直に息子にしました。
お父さんだってお前以上に女の子に何も話せなくて。でもお母さんがいて克服できたんだ。今は素敵なお母さんがいて、可愛いお兄ちゃんやxx(娘)がいて、みんなで幸せに暮らしてるんだよ。
「そうそう、だからあんたも大丈夫よ。思い切って告っちゃえ!失敗しても恥ずかしいことじゃないよ」妻は言います。
「そうだよ、大丈夫!」と僕も言おうと思ったのですが。ちょっと待てよ。
僕は付き合う前に妻に気持ちを伝えてない。妻だったから僕はなんとかなった。今幸せなのも妻のお陰。あれ、ちっとも大丈夫じゃないじゃん・・・むしろダメなのでは?
僕はその後、苦笑いで妻の顔を見ることしかできませんでした。
女性免疫のなさは父から子に遺伝するものなのでしょうか・・・w