僕と志津は一回生のゼミが一緒で、当時は学校ではそれなりによく会って
他の友達と一緒に結構遊んだと思う。
笑顔のかわいい真面目で元気な子だった。
二回生になってからは自然と会わなくなったけど、たまに会うと前と同じように
とりとめのない話をしていた。
そんなある日、突然彼女から電話があった。
「どう?元気にしてる?」
「うん、どしたの?急に」
「実はちょっと悩みがあってさ~○○(俺の名前)に聞いてほしいんだけど・・・。」
電話では話せないからと、次の土曜日に会う事になった。
当日、夜の9時半に志津のワンルームに車で迎えに行った。
志津はすぐに出てきて車に乗り込むと、
「どこでもいいから適当に走って。」と言った。
僕は言われたとおり車を出し、あまり交通量のない田舎の国道を走った。
しばらく走ってから「どうしたの?悩みって」と聞いてみた。
すると彼女は「あ~あれね・・○○の顔見たら忘れちゃった」と笑いながら言った。
とりあえず無理に聞いてもしょうがないと思い、その話はもうしない事にした。
「志津は今彼氏とかいないの?」と聞いた。
なぜか僕達は、お互いの込み入ったことは話したことがなかった。
「いないよ~。○○は?いるんでしょ彼女?」
「いや、俺もいないかな?志津はいつからいないの?」
すると彼女から驚く答えが返ってきた。
「え~ずっといないよ~~。」
僕はかなりビックリした。
志津を好きだった先輩がいて、仲良くしてたんだ。
「え~!?〇〇先輩は?」
「うん・・でも私好きな人がいたから・・・」と志津は答えた。
「誰だよそれ」と言いかけたけど、なんとなく聞けなかった。
たぶん大学時代にそういった話をしなかったせいだと思う。