あれは高1の入学式
初めて会うクラスメートの中に気になる男子がいた。
真面目そうな外見で、一人で黙って窓の外を見てた。
気になって暫く目が釘付けになってた。
知らない女子に話しかけられて振り向く。
名前を聞かれ答える。
友達になろうって言われて頷いた。
彼は変わらず外を見ていた。
入学式が終わり、担任の長い話が終わるとやっと帰れた。
玄関で親が待っていた。
彼を探したけど、人の波で見つける事が出来なかった。
入学式から数日が経ち、なんとなく仲間が固まってきていた。
彼は2人ぐらい友達ができたらしい。
でも、相変わらず静かだった。
私はその日から彼を追いかける日々。
入学式に話し掛けてきた子と親友になった。
この子にだけ、西村君が好きだと打ち明けた。
友達は「協力してあげる」って楽しそうだったけど
「なんで西村なの?」って何回か聞かれた。
「一目惚れ」って言うと「マジでウケる」って笑われた。
西村君は、あんまり人気がないらしかった。
それは私にとって嬉しいことだった。
西村君が美術部に入ったから、私も入った。
どうにかして接点を作りたかった。
ある日、部活で描いた油絵が学校の廊下に飾られた。
私のを含め数点
顧問の独断と偏見で選んだらしい。
完全オリジナルだったが、いちゃもんをつけてきた女子がいた。
女子プロレスラーみたいな外見で、私の苦手なタイプ。
私の絵を、どっかで見ただの、誰かの真似だの言ってきた。
女子プロレスラーさながら、手下を2人ほど従えて3人で、やいやい言ってきた。
私は我慢した。
顧問が私に聞いてきたから、真似は否定した。
嫌な気分で玄関で靴を履き替えてると西村君に話し掛けられた。
「よく我慢したね」
西村君とまともな会話をしたのは、初めてだったかもしれない。
その日から、少しだけ距離が縮まった。
部活帰り、学校から歩いて15分ぐらいのとこにあるスーパーで西村君と時々買い食いをする仲になった。
ベンチに座って、安いシュークリームやジュースを飲んで過ごした。
西村君はスーパーでは笑ってくれる。
教室では、相変わらず寂しそうだった。
夏休み
私達の時間が動いた